2023年アカデミー賞受賞作品から ザ・ホエールとエブリシンク・エヴリウェア・オール・アット・ワンス  

 「ザ・ホエール」( 監督 : ダーレン・アロノフスキー。2022年)は予告編を見た時点で、心地悪そうに思い敬遠していたけれど、ダーレン・アロノフスキー監督のインタビューを読んで、これはもしかして!という期待と共に映画館へ。主人公、272kgの巨体チャーリーがとてもチャーミングな人ということが、アカデミー主演男優賞を受賞した、ブレンダン・フレイザーの演技をもって強く伝わってきた。これまたアカデミーメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した、あの巨体作りを以ても、ブレンダン・フレイザーの演技が上手すぎて、チャーリーがそこに実存しているように思えた。歩行器無しでは、歩行器があっても動くことさえ困難で、あんなになるまでの異常な過食で、あそこまで超超超肥満になってしまうこと以外は(ストレスで過食に走ることはよーくわかる)、チャーリーの生き方や家族間の問題、仕事へのスタンス、思いやりのある言葉遣いやポジティブさ、ユーモアのセンスや人としての温かみが、フレイザーの一挙一動、表情や目の動きから感じて、映画の世界にどっぷり浸っていった。思い題材、自分とは関係なさそうな出来事、その当事者の描き方が、映画だとしても共鳴できるのを感じて、終わり方にも希望がさしていて、心にチャーリーのチャーミングさが深く刻み込まれた。チャーリー、ありがとう。

 本年度アカデミー賞最多7部門を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(監督 : ダニエルズ。2022年)は、ベテラン俳優陣の演技は○。話の設定も撮影も炸裂していてぶっ飛んでいて面白いのだけれど、途中何度か退屈になってしまい映画に入り込めず、、乗れず、、。一言で言えば、好みではなかった。映画はよくよく、好みでないものも入り込めたりするけれど、久しぶりに違和感のあるまま終了してしまった映画だった。

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