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哀れなるものたち他

こんな映画があるなんて!へんてこりんの唯一無二。かつて観たことがないような映画を作る人々がいて、それをたくさんの人々が観ていた昨日の昼下がり、東京日比谷。

何十年かぶりに、映画のパンフレットを買い求めた(角川映画の薬師丸ひろ子の映画のパンフレット以来)!頭の中を爆風でぶっ飛ばしてくれた衝撃度壮大な「哀れなるものたち」(ヨンゴス・ランティモス監督。2023年。イギリス)。アラスター・グレイ原作。エマ・ストーン演じるベラの奇想天外な冒険。どこまで行くの!?と、ちらっと感じつつ(作られた世界が無理にかけ離れ過ぎると、一気に魅力がなくなるけれど)、最後まで目が離せず惹きつけられて。破格の怪作、桁違いの想像力、大傑作。

ビクトリア朝風とパリコレと現代を掛け合わせてような衣装もうっとり、素敵(好み)!!アンバランスなパフスリーブやミニスカート、アンダーウェアもクラッシックでいて不思議な今っぽさ。髪型や特殊メイクも面白い。ベラの住む世界といく先々(ロンドンから始まり、リスボン、船上、アレクサンドリア、パリ、そしてロンドンに戻る)の家(アート)や建物は全てセットだとは!!どの場面でも、もっと隅から隅まで見たくなる、おとぎ話のようなで空想的で、SF的で時代錯誤で美しい。

そしてエマ・ストーン。「ラ・ラ・ランド」では上手いなぁ、と他に特に印象はなかったけれど、ベラを見事に演じ切れていた。難しい役どころを大いにハマって、女優魂に尽きるのリスペクト。多々あるセックスシーンも難なくこなして。当たり前とされている道徳や常識や偏見を次々かっ飛ばしていくベラに、世界の違う見方や大切なことを気が付かせてくれた。セックスシーンもストーリーから納得だったし、パリの娼婦の館も、こんなのあったんだろうな〜と可笑しくもクリエイティブプラスのリアルを感じた。全身タトゥの娼館のマダムもベラが船上で出会う年配マダム(ファビンスター監督に出演していた、クールな印象だった、ハンナ・シグラだった)もよかった。ゴットを演じたウィレム・デフォーも、ダンカン演じたマーク・ラファロもハマり役。その人に見えた。

映像の視点も映画の世界に一気に引き込んでくれた。上質のクラッシックのようでいて、歪んだようなズレた世界観。楽しい!画一的なものを、ありきたりな常識を、今のみんながいいと思っているだろう時代を、スケール大きく荘厳に奇怪に、映画で軽々吹っ飛ばしてくれたヨンゴス・ランティモス監督の才能全てに、感謝、感服。

と新年が明けて、既に2月だけれど、年末年始、それ以前に観た映画も以下、備忘録として記しておきたい。

多くの人が言うように、続けるってなかなかのことで、noteも書かなくなると書けなくなってくる。書きたい気持ちが、日々のあれこれに押しつぶされそうになることもあるけれど、やっぱり書けると楽しい。noteで目にする皆さんのnoteも愛しい。私にも書ける場があるnoteにも感謝。noteの存在と目を通して下さる方々いること、昨年も今年もどうもありがとうございます。

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」(ポール・キング監督。2023年。アメリカ)は、出だしから、ティモシー・シャラメがウォンカに見えたところからファンタジーの世界へトリップできて、幸せな夢心地が味わえた。役者揃い。

「ミツバチと私」(エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督。2023年。スペイン)。自身の性自認に悩む男の子アイトールを演じた女の子、ソフィア・オテロが、アイトールにしか見えない自然さで、8歳にして悩むトランスジェンダーを見事に演じた。ベルリン国際映画祭で、史上最年少9歳で最優秀主演俳優賞を受賞したそう。バカンスで訪れたお母さんの実家、スペインバスク地方が舞台で、養蜂家の叔母さんや、近所の女の子のお友達との包み込む優しい台詞に泣ける。

PERFECT DAYS 「ヴィム・ヴェンダース監督。2023年。日本)。ヴィム・ベンダース監督と言えば、私の中では「パリ・テキサス」のナスターシァ・キンスキーが大部分を占めていて、それでいて、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司が見たくて。今の東京の切り取り方、目線がユニークで、役所広司演じる平山が、今日もあのアパートで、いつものルーティンで仕事をこなして生活しているんだろうなぁ、を今でもそう感じさせてくれる、揺れ動く感情が、余韻が続くシネマ。ブラボー、素晴らしかったです、役所広司。

「月」(石井裕也監督。2023年。日本)

「アウシュビッツの生還者」(バリー・レヴィンソン監督。2022年。カナダ、ハンガリー、アメリカ)

「月」も「アウシュビッツの生還者」も実話が重過ぎて、木っ端みじんにされた。他人事でいられるだろうか、もし当事者だったら。。社会とは、世界とは、、。生きていく上で必要な要素が映画には詰まっている。

映画大好き。

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