真っ暗な玄関を開け
大声で
「ただいま」と叫ぶ

どこかから
「おかえり」という声が聞こえた気がした
もう一度「ただいま」と叫んでみる

こころの中から
母の声がする

ウソでしょう…
でも聞こえたんだけど

何回も何回も「ただいま」と叫んでみる　
「お母さん」「お母さん」
涙を拭う
「お母さん」
もう一度つぶやく

今はもうわたしのこころの中にいる
泣きそうになりながら
母のことを思い出す

一緒にご飯を食べようね
一緒にお出かけしようね

肉体はないけれど
どんな時もそばにいる
何でもわかってしまう

わたしもね
あの時のお母さんのくやしさが分かってきたよ
わたしを一人置いて神様の元へ還るお母さんの気持ちを

肉体のない世界
魂だけの世界
なつかしいみんながいるから
さみしくないね

わたしはほんのりさみしいよ