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青い花

ばあちゃんの祥月命日に花を買う

ばあちゃんはちょっと見た目が派手な人
お出かけをする時はいつも着物を着ていた
大島紬

ばあちゃんはやさしい人
ただしじいちゃんに浮気ばかりをされ
さみしかったのか
愚痴っぽい人

それはあとから
ばあちゃんがいなくなってから
わたしも年を重ねてから
分かったこと

ばあちゃんの孤独
いっぱいストレスを溜めていた
タバコを吸い
よく貧乏ゆすりをしていた

それでもばあちゃんは生きていた
家族がいてもひとりぼっち

今のわたしには分かる氣がする

心をゆるせる娘は遠くに嫁ぎ
側にいる娘とは心が通わない

ばあちゃんの座右の銘は「一心は岩をも通す」
気持ちの強い人だった

酒屋と質屋を切り盛りし
商売上手
お客の前では演技派女優

心は誰よりもやさしくて
思いやりの深い人

母はばあちゃんの心の強さを受け継いだのか


ばあちゃんの祥月命日には青いデルフィニウムを買い求める

ちょっとおしゃれなばあちゃんにお似合いだ

母はばあちゃんのことを「おっかちゃん」と呼んでいた

母はばあちゃんが彼の世へ旅立った日に浜へ行き
「おっかちゃ~ん」と海に向かって叫んだと教えてくれた

母も自分の母親が大好きだった

母は今、実相の世界で大好きなおっかちゃんの側でニコニコしているのだろう

お供えには初物のメロン

お分けして食べてね

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