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母への想い

「わたしもね、母の棺に入りたかった」

唐突に、そう声をかけられた
わたしより年上のひと

母を亡くしたわたしに

その人は自分のお母さんを亡くした
かなしみを話してくれた

かなしみは死ぬまで消えないと
つぶやく

友達もそう言っていた
あんまり感情をおもてには出さない彼女は
とってもやさしい人なんだ
ふと感じる
彼女の心根を

我慢しないで話してくれる

わたしも我慢はしない

やはり泣く
母のことをおもいだす

ケータイの待ち受けを
息子が撮った母の写メにしてみる

いつでも母と一緒
でもさみしい

親もとに帰っても
母がいるという御霊屋で手を合わせても
むなしいよ

それでもお参りをして
天音堂を出たところ
山の上
空を見つめ
流れる雲を追いかける
風を感じ
笹の葉が揺れている
その時に
ひとりなのに
ひとりではない想いが浮かぶ

やさしい風
御霊様

母が生きていた時の
雰囲気に一瞬包まれる

御霊様の中に母がいる

大好きな母を感じる


確かに旅立ちの直後
「わたしも一緒に連れて行って」と
母に言ったけど

「わたしもね、母の棺に入りたかった」は 
衝撃的過ぎる言葉だった

母を亡くすって
永遠のかなしみなんだ

母に会いたい

わたしだけではない

みんな
そう思うんだ
そう感じるんだ

親元に帰った日
一つ
プレゼントをもらう

ありがとう
母を感じることができて

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