見出し画像

お腹が空いた

朝から父と母、ご先祖様の感謝をして頂いて日がな一日を
おやさまの元で過ごす

あたたかいこころに包まれる、守られる

息子は午後からのおやさまのお話しを聞いてすぐに帰るという

わたしは感謝の御礼を言わないとと思って残る

どこかから煮物の匂いが流れてくる
横で午後から来たすずさんが
「お腹が空いた」と言っている
わたしも同じ言葉を繰り返す

前に「餃子を食べて帰ろうよ」と誘われだけれど
その日はくたびれ果てて「ごめんね」と先に帰る

「すずさん、今日は泊まり?」
「いいや、帰る」
「じゃあ、餃子を食べて帰ろうよ」
渡りに船とばかりに
「いいね!」が返って来る
駅前の中華屋さんに入ると知った顔がいる
ついさっきまで天命庵にいた声楽家さんがお友達と食事をしている

餃子は二人前、ラーメン、チャーハンを二人でシェアする
「美味しいね、美味しいね」
そういえばお昼におにぎりを二つ食べただけだった

この中華屋さんにも随分前に母と息子と三人で来たことがある

すずさんは十日前も篠笛の姉弟子さんとここで食べて帰る

シェアするやり方は前回に覚えたらしい

お腹いっぱいになって電車に乗る  
外は真っ暗で電車の中はあたたかい
眠気にそそられる

二回目の乗り換え駅ですずさんを起こす
「絶対にひとりだったら終点まで行っているね」

以前一緒に帰った時
「じゃあ、ここで」
とわたし一人で降りようとするとすずさんもついて来る
「えぇ?はい…」
「わたしも乗り換え」

わたしの方が先に降りるが、最後まで同じ電車

縁って…あるんだね
すずさんとわたしは知らないうちにつながっていた

おんなじ助産院、おんなじ助産師さん
もうK先生は実相の世界に還られた

お葬式には行けなかったけど
後からわたしは友だちとお墓参りに行って来た
墓石には「ありがとう」と刻まれている

こちらこそ「ありがとう」なのに…

やっぱり個性的

不思議な不思議なご縁があって今がある 

やっとすずさんと「餃子を食べて帰る」約束を果たせて
わたしはおなかもこころも満たされた

ごちそうさまでした

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?