見出し画像

官僚主義を脱ぎ捨てろ|49冊目『ヒューマノクラシー』

ゲイリー・ハメル ミケーレ・ザニーニ(2023,  英治出版)



マネジメント2.0とティール組織とヒューマノクラシー

大学院時代はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューを定期購読していました。
現在はわかりませんが、当時はたしか学割がきいたと記憶しています。
そして、過去の論文記事を検索してダウンロードできたので、レポートを書くときなどに重宝していました。

そのハーバード・ビジネス・レビューでよく論文記事を見かけたのがゲイリー・ハメル教授でした。

私は、IDEOのようなクリエイティブで自由な会社にあこがれていて、フレデリック・ラルーの『ティール組織』を読んで「これだ!!」と思っていました。
ビジネススクールの修論では、日本を代表するクリエイティブ・ファーム、ロフトワークを研究テーマにしており、ハメル教授の『マネジメント2.0に向けた25の課題』の論文記事はとても参考にさせてもらいました。

『ヒューマノクラシー』で語られる組織のあり方はマネジメント2.0の延長にあるものですが、日本語版の序文を書いている嘉村賢州さんはティール組織の解説を書いた人でもあり、その嘉村さんとWBSの入山章栄先生とビオトープのCOE、佐宗邦威さんの、ハーバード・ビジネス・レビューの鼎談記事では、マネジメント2.0の組織のあり方とティール組織の共通性が議論されていました。

つまり、ティール組織やホラクラシー組織に傾倒する自分が、ヒューマノクラシーに強く共感することは、読む前から想像できたことでありました。


従業員と従業員のビジョンを大事にする組織

ティール組織をあらためて簡単におさらいしてみましょう。

自律分散型であるティール組織の対立概念となるのは、中央集権型の組織ですが、レッドもアンバーもオレンジもグリーンも、ピラミッド型の組織構造を持つ中央集権型の組織です。
ティール組織の本の中では特に達成型(オレンジ)組織とよく比較されていました。

ティール組織の3つの特色は①自主経営(セルフマネジメント)、②全体性(ホールネス)、③存在目的で、代表的な企業としては、オランダの在宅ケア組織、ビュートゾルフが紹介されています。

一方のヒューマノクラシーですが、対立概念の敵役となっているのは”官僚主義”です。
官僚主義の組織は人間を道具としてしか見ておらず、人間らしさに欠けるため、レジリエンスやクリエイティビティや情熱がないと、ハメル教授は徹底的に攻撃します。
官僚主義ですから当然、中央集権型であり、権力に固執する文化があり、従業員は顧客や社会ではなくて社内政治に明け暮れ、内向きに仕事をします。
最悪ですね。

対するヒューマノクラシーの7つの基本原則は①オーナーシップ、②市場、③健全な実力主義、④コミュニティ、⑤オープンであること、⑥実験、⑦パラドックスを超える です。

ヒューマノクラシーは、組織を細分化しフラットにして、権限と責任を移譲し、裁量を広げ自律性を促し、モチベーションを高めます。
オーナーシップはセルフマネジメントと言い代えられるでしょうし、こうしたところはやはりティール組織とそっくりです。

代表的な企業としては、アメリカの鉄鋼会社、ニューコアと中国の電機メーカー、ハイアールが紹介されています。

ヒューマノクラシー企業は、公正で透明性があり、オープンであり、コラボレーションが得意なので、従業員どうしはリスペクトし合っていて、そして会社を信頼しています。

官僚主義のように「人は組織の道具」とは考えずに、「人のために組織がある」と考えるのがヒューマノクラシーなので、会社は個々人の成長に目を向けるなどして、従業員一人ひとりを大事にしています。

会社が従業員の成長にフォーカスするということは、つまりは従業員個人のビジョンを重要視するということだと思います。

従業員個人のビジョンが尊重される会社すべてがティール組織やヒューマノクラシーであるとは言えないでしょうが、ティール組織やヒューマノクラシーの企業では個人のビジョンが尊重されていると言えるかも知れません。


ヒューマノクラシー 「人」が中心の組織をつくる


最後までおつきあいいただきありがとうございました。
スキ♡の応援よろしくお願いいたします。
2024年も頑張って書きますので、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?