今日は漬物の日~漬物に関する特許~
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「今日は漬物の日~漬物に関する特許~」をお伝えします。
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1.漬物の効能
なんで今回、漬物を取り上げたかと申しますと、私が最近漬物をもらってその効果にびっくりしたからなんです。
先日、親しくさせてもらっている人から自家製の「たくあん」をもらったのですが、糠(ぬか)が付着したままの、匂いもきつい昔ながらのたくあんでした。
坂岡は家事について面倒なことが嫌いなので、その「たくあん」を洗わず、糠が付いたまま包丁で切って食べています(当然臭いです 笑)。
すると、お腹の調子がもの凄く良いのです!
漬物には乳酸菌等が含まれて整腸作用があることは知っていたのですが、さすが手作り(さらに糠付き)、その効果は抜群でした。
ということで、今回は漬物に関する特許を取り上げてみます。
2.漬物の特許分類
特許を取り上げるといっても、そのためには特許調査をしなければなりません。
漬物に関する特許分類を調べてみると、以下のものがありました。
(1)FI A23B7/10 ・酸による保存;酸発酵(この下位分類にも漬物に関するものはありました)
(2)Fターム 4B169 DA00. 漬物の製造方法
このうち、(2)のFタームで昭和46年以降の文献を検索してみたところ、1843件ヒットしました。
漬物って昔からある食品なので、特許出願件数もかなり少ないかなと思ったのですが、意外と数多く出願されていました。
出願人の傾向として、県や国の研究機関がけっこう見られます。
もちろん、食品会社も多数が出願人となっています。
3.今回取り上げる特許
今回取り上げる特許は、せっかくなので坂岡がその効果にびっくりしたぬか漬けに関するものにします。
特許第6818276号です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6818276/A3F2BCD493F31D703A38EEBFEA6CDD43C275176B4AB59D0BDF55497FEE66DD87/15/ja
この発明は、以下のとおりです。
【請求項1】
炒りぬかと混合させてぬか床を形成するための液状ぬか床形成剤であって、
食塩、炒りぬかを含む一次配合品に、水、醸造酢及びパン酵母を配合し、約10分間撹拌した後、加熱対応袋に真空充填し加熱殺菌処理したことを特徴とする液状ぬか床形成剤の製造方法。
課題を見てみると、
「・・・誰でも簡便にぬか漬が楽しめるように、製造直後から野菜を漬け込むことができると共に、管理が容易な、・・・漬け物調味液の提供。」
とあります。
この特許公報には、ぬか床を密閉して30日保管した後の写真が載っています。
従来のぬか床は、カビだらけになっています。
対する本件発明に係るぬか床は、カビが発生していません。
これまで撹拌が必要で管理が大変だったぬか漬けを、誰でも簡単にできるように、とのことなんですね。
4.特許の効果
上記の特許の効果としては、誰でも簡単にぬか漬けができるということなのですが、やはり会社として特許を取得している以上、商売としての利点を考えていきたいと思います。
坂岡なりに考えてみたところ、以下のものがありました。
(1)自社工場内での製造管理が楽になる
上記の特許権者は、漬物の製造販売をしている会社です。
すると、特許を社内で実施することで、自社生産の漬物においても製造が楽になります。
(2)外販ができる
当該特許製品である「液状ぬか床形成剤」を外販することができます。
事実として、特許公報には特許出願前に、特許に関する漬け物調味液を他社に卸販売したことが記載されています。
また、この特許権者は、ぬか床そのものを一般消費者向けに販売しています。
初心者向け商品では、ビニール袋にぬか床を詰めて、その中に野菜を入れることでぬか漬けができますと謳っています。
さらに、別の販売ページでは水を加えるだけでぬか床ができる商品で、「がんばらなくてもおいしい」と書かれています。
ここでも特許製品を売ることができますね。
特許取得と表示すると広告宣伝にもなります。
これらをあわせると、会社の利益向上に貢献しそうですね。
いかがでしょうか、このように昔ながらの製品であっても特許を事業に活用することは可能です。
御社でも現在ある商品や製法を、今一度見直してみませんか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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