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特許・意匠・商標だけが知財ではない

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「特許・意匠・商標だけが知財ではない」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact
 
 新年あけましておめでとうございます。
 少し前に読んだ漫画で、「ハンデや親がどうこうなんて関係ない、俺はガッツで乗り越えてみせるぜ!」という旨のセリフがありました、
 良い言葉ですね、こんな言葉、私は大好きです!
 ということで、今年も気合いを入れていってみましょう! 

※石川の震災に遭われた方々の1日も早い復興を願っております。

1.知的財産権とは

 知的財産と聞くと、特許権、意匠権、商標権といったものを思い浮かべる人が多いのかなと勝手に思っております。
 これらに加えて著作権といわれる人もいらっしゃいます。
 
 しかし、知的財産というのはこれらだけに限りません。
 例えば、下の図のように、回路配置利用権とか育成者権とかがあります。 

※特許庁HPより引用

 とはいっても回路配置利用権なんては中々馴染みがありません。
 大きな声では言えませんが、私も勉強したことがないです、マニアック過ぎます、、、
 そこで、今回は中小企業にも馴染みのあるノウハウについて述べてみます。 

2.ノウハウとは

 そもそも、ノウハウとは何なのか、大辞泉の電子版でみてみますと、以下のとおり出てきました。
 (1)ある専門的な技術やその蓄積のこと。「仕事の―をおぼえる」
 (2)技術競争の有力な手段となり得る情報・経験。また、それらを秘密にしておくこと。
 
 当たり前ですが、まさしく大辞泉に記載のとおりですね。
 この中で、(2)の「それらを秘密にしておくこと。」という文言が重要と思います。
 
 なぜなら、ノウハウというのは特許権等と違って、独占排他権というものがありません。
 従いまして、漏洩してしまうと止めようがなく、際限なく模倣されてしまうという事態に陥りやすいのです。
 では、どうすればよいのかですが、これはもう徹底的に秘密管理をするしかないです。
 
 一応、ノウハウを保護する法律として不正競争防止法の営業秘密があります。
 ノウハウが営業秘密の要件である「秘密管理」「有用性」「非公知」を満たせば、法律によって保護を受けられる可能性があります。
 しかし、漏洩した損害を取り戻そうとしても、立証が困難になる等の理由でなかなか難しいのではと思います。
 ですので、先ずは漏洩させないことが重要になってきます。 

3.ノウハウを漏洩させないために

 漏洩させないことの具体的な施策として、一般的に以下のことがあげられます。
 (1)その情報を見た者が、ひと目で秘密情報と分かること
 これは、書類に「マル秘」とか「機密」とかの判が押してある状態です。
 
 (2)その情報にアクセスできる者を制限する
 誰もがその情報を閲覧できるようではいけません。
 関係者とその上司や責任者等のみの人だけが閲覧できるようにします。
 例えば、書類キャビネットを施錠する、部屋そのものを施錠する、PCのデータにはパスワードを設定する等です。
 
 (3)データをコピーできない環境にする
 従業員が使用するPCのUSBソケットやDVDドライブを無くす、PCに管理者を設定してPCの動作がわかるようにする。
 こういったことは大企業なら普通にしているのですが、中小企業では少ないと思います。
 
 私の経験ですが、以前に勤務していた電機メーカーでは、部署にもよると思いますが、添付ファイル付きの電子メールを社外に送ることができませんでした。
 また、不特定多数の人が書き込みをする掲示板等の、情報漏洩する可能性のあるウエブサイトは、閲覧することができませんでした。

 他には、とある大企業に特許調査の結果をDVDで納品しようとしたところ、DVDドライブやUSBメモリが接続できないので、他の方法で納品してくださいといわれたこともあります。
 
 (4)従業員の意識付け
 これは、社内の情報を社外に漏洩させないことの徹底をします
 例えば、入社時、プロジェクトへの参加時、退職時等に書類に署名してもらうことや、就業規則に明記しておくことです。
 また、適宜、情報の大切さや罰則、損害賠償請求についても教育していくことがあげられます。
 
 けっこう大変ですね。
 従業員が少ないうちはそうでもありませんが、大人数になってくると、秘密管理の手間とコストはかなりのものになってきます。
 このようなことから、特許出願よりもノウハウ管理の方が、一般的にコストがかかるといわれるのです。
 
 とはいっても、製造方法や秘密のレシピ等、どうしても特許出願して公開されるよりも秘密にしておきたいという知財もあると思います。
 そのようなとき、上記のやり方を参考にしてみてください。 

4.中小企業でよく見られる事例

 よく中小企業で問題となりそうなのが、顧客リストや製造方法の持ち出しです。
 退職者が顧客リストや製造方法を持ち出して独立したり、同業他社に転職したりすることがあります。
 こんなことにならないよう、普段から情報の扱いには気を付けましょう。
 
 いかがでしょうか?
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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