こんなところにも特許がある
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「こんなところにも特許がある」をお伝えします。
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1.ふと見かけた車止め
先日、面白い車止めを発見しました。
車止めとは、車が入ってはいけないところへの進入防止、又は駐車場に停めた車の盗難防止等の目的で地面から突き出ている金属製の柱です。
この車止め、用途によっては着脱可能に構成され、さらに管理者等のみが着脱できるよう南京錠で着脱機構を施錠できるものがあります。
この着脱機構の保護具として、今回の車止めにちょっと変わったものが付いていたのです。
それは、南京錠のカバーです。
カバーが付いて、何だかベルみたいです 笑
面白そうなので、特許調査をしてみました。
すると、特許第4966101号で登録されており、権利も維持されていました。
2.特許の観点から車止めを見てみると
ここから、特許の観点でこの車止めを見ていきましょう。
(1)課題
最近はあまり聞きませんが、金属の高騰が話題になっていました。
金属が高騰するとスクラップ金属も高値で取り引きされることから、こういった金属製品が盗まれるおそれがあります。
特にステンレスや銅は高く売れますもんね。
この場合、いくら車止めを南京錠で施錠していても、逆U字状になっている掛け金(下の図面の符号k)をボルトクリッパーで切断してしまえば、簡単に車止めを外すことができます。
窃盗団ならばこんなことは朝飯前だと思います。
また、車止めの目的が車両の盗難防止だった場合も同様に、南京錠なんて簡単に切断されてしまいます。
何せ、車の窃盗団はハンドルロック等の盗難防止機器もものともしないくらいですから、、、
(2)課題を解決するための手段
ならばどうするのかですが、一般的には南京錠を強度の高いものにすることが挙げられます。
ボルトクリッパーの歯が立たないようなゴツい南京錠にすればよいのです。
しかし、これでは車止め自体も太い径にして、大きな南京錠が取付けられる構成にしなければなりません。
経済的にも不利です。
そこで、南京錠を切断できないようにカバーを付けようとなったのでしょう。
(3)作用効果
カバーがあることで、ボルトクリッパーの歯が南京錠に届きません。
これにより、支柱を管理者等以外の者が取り外せなくなり、支柱や車両の盗難を防止することができます。
もっとも、車止めの着脱機構自体を破壊すれば良いのですが、そうすると手間がかかるだけでなくサンダーの音や火花が出て目立ちすぎます。
結果として盗難を諦めてくれるということでしょう。
カバー自体はそんなに高価なものではありません。鉄で作って亜鉛溶融めっきをすればできます。
南京錠をゴツくするより経済的なメリットがありますね。
3.売上げに直結するさらなる効果も
直接的な効果は上記のとおりですが、坂岡なりに考えてみますと、商売上の効果もありそうです。
それは、この盗難防止の特許を有することで、車止め自体の販売数が増えることです。
他社が同様の方法で車止めの盗難防止をしようとすると、特許権侵害になってしまいます。
南京錠をゴツくすれば、車止め自体が大きく高価なものになります。
結果として、誰かが盗難防止対策が施された車止めを買おうとすると、この特許を有している会社で車止めを買うしかなくなります。
つまり、車止め自体の特許でなく、周辺機器で特許を取っていれば本体製品も売上げにも結びつくということです。
この車止めの特許権者は経営上手ですね。
こういった手法は、例えば製品の据え付け工事や調整などに必要な治具で特許を取得し、その治具と製品とを抱き合わせ販売することでも実現できそうです。
皆さまのお仕事でも、こういった周辺機器などで特許を取得し、本体製品の売上げを向上させてみませんか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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