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効果の高い改善提案の選別

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】

 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「効果の高い改善提案の選別」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact

1.知財を活用して企業価値を上げる方法の概略

 以前の記事「知財を活用して企業価値を上げる方法」では、具体的な方法として以下の7つを挙げてみました。
https://note.com/norio_sakaoka/n/nc45fe8bec77c
(1)課題探し
(2)従業員全体から課題を吸い上げる工夫
(3)効果の高い改善提案を選別
(4)先行技術調査
(5)抽出した先行技術文献を模倣する
(6)先行文献をさらに改良する
(7)特許出願の可否を検討する

 今回は、上記のうち(3)効果の高い改善提案を選別、について、さらに詳しく説明して参ります。

2.改善提案を選別する

 改善提案なり業務報告なりで、従業員に課題とその解決手段を示してもらったら、次は多数の改善提案等から良いものを選別する作業が必要になってきます。

 私も過去に改善提案を書いた経験があるのですが、たいていの改善提案はショボいものです 笑
 どこどこで何の置き場が不明確だから、表示用のテープを貼ったとかです。
 たまに、設備のメンテナンスの手順がよろしくないから、手順書を改訂したとかが入る程度です。

 でも、従業員が提出してくれた改善提案の中には、これは効果が高いだろうと思われるものが混ざっています。
 組織として課題を解決して成長するには、この効果の高い改善提案を見逃してはいけません。

3.効果の高い改善提案とは

 次に、効果の高い改善提案を選別するにあたり、何をもって効果が高いかを決めておく必要があると思います。

 ここでは、会社の業務に効果があるものとして、金銭的な価値から見ていきたいと思います。

 例えば、作業が3分時短できれば、1日あたりの作業回数×3分という感じで計算すれば金銭的な価値がわかります。
 材料のロスが減らせるときや、不良率の改善が見込めるときも同様に計算すればよいですね。

 品質や機能が良くなって売上単価が上がりそうだとか、売上数が増えそうといったときも金銭的な価値に換算できます。
 会社のイメージが良くなるようなことでも、長期的に見れば金銭的な価値がありそうですね。

 後半の2つはある程度の見込みとしか見ることができませんが、やはり効果としてはあると思います。

4.知的財産としての価値は?

 上記では、改善提案を金銭的な価値から見ていきましたが、金銭面だけでなく、知的財産としての効果も見ていきたいですね。

 基本的に、金銭的な価値があれば知的財産としての価値も同様にあると考えます。
 このため、知的財産としての保護も必要になってきます。

 とはいっても、やみくもに特許出願をすればよいというものでもありません。
 基本的に、その改善提案が他社にとって模倣容易かどうか、模倣されたときの発見ができるかどうかによって考え方が変わってきます。

 例えば、製品として外部に出すようなものであれば、他社にとって模倣が容易であり、かつ模倣されたときの発見も容易です。
 こういったときは迷わず特許出願や意匠登録出願をされることをお勧めします。

 一方、製造方法の場合は他社が模倣することが難しく、また、模倣されたときの発見も困難なことが多いです。
 こういったときは、ノウハウとして秘密管理することもあります。

 もっとも、ノウハウを他社に技術供与するときは、特許出願される方が良いと思います。
 また、秘密管理することはけっこう大変でして、会社の規模が大きくなればなるほど予算と手間がかかってきます。
 ですので、出せる予算や規模にもよりますが、ノウハウといえど特許出願を選択することがあります。

5.中小企業としての対応は?

 上記の様に、改善提案を金銭的な面と、知的財産としての面から評価することが必要ではないかと思っております。

 しかし、中小企業では知財部がないことが多いです。
 このため、改善提案を金銭的な面から評価することはできても、知的財産としての評価は難しい場合が多いのではと考えます。

 そういったときには、弁理士を頼ってもよいのではないでしょうか。
 つまり、会社の管理者と弁理士とが協働して改善提案を選別するのです。

 私の勝手な想像ですが、最近の弁理士は、昔ほど敷居が高くないと思いますし、独立したばかりの弁理士では仕事を探しているので、1回あたり数万円のフィーで来てくれる人もけっこういると思います。

 但し、そこで弁理士の言いなりになって、あれもこれも特許出願をしないようにしてくださいね 笑
 以前に、特許がある中小企業の利益率が、特許が無い中小企業の倍であると書いたことがあります。
 これは、特許出願をしたらか利益が出たのではなく、日常から自社の課題を解決して、その結果特許出願をしたとみる方が正解だと思うのです。

 いかがでしょうか?
 この記事が御社の発展に寄与することを願っております。

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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