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15分遅れがお約束 Le quart d'heure angevin

Bonjour! 東京から陸サーファー的にフランスを語るわたくし、新行内です。


例えばホームパーティーを開くとする。ゲストに「7時に来てね」と前もってお願いしてあっても、汚い部屋を年末ばりに大掃除したり、いつも作ったことのないような料理に挑戦したばっかりに7時には全く準備が終わらないことがある。そんな時に限って、7時ちょっと前に玄関のチャイムが鳴ったりする。軽いパニック。

そんな時にこう思う。

「ああ!こんなとき、Le quart d'heure angevin(ル キャールドゥール アンジュヴァン)が日本にも存在したらなぁ!」

さて今回はこの Le quart d'heure angevin について書いていく。

まずはフランス語の説明。

Le quart d'heure とは 4分の1時間、すなわち15分という意味。

そして angevin というのは、地名の形容詞形。例えばよく聞くparisien(ne)(パリジャン・パリジエンヌ)は Paris パリの形容詞形。
それと同様に、angevin(e)(アンジュヴァン・アンジュヴィヌ) は Angers※ の形容詞形。

※Angers(アンジェ)という都市は、フランスの西部のメーヌ川とロワール川が合流するあたりに位置する中都市である。パリからTGVで1時間半。落ち着いた雰囲気のとても良い街だ。以前にも書いたように私はこの街で留学生活を送っていた。

ということでLe quart d'heure angevin というのは、「アンジェの15分」という意味である。
 

アンジェで誰かの家にお呼ばれして時間ぴったりに行くと、いつもダントツの一番乗りだったり、招待した張本人に「えっ?もう来たの?」的な態度をとられていた。

「えっ?8時って言ったよね?時間間違っちゃった?」と聞くと、招待主は笑いながら ≪Tu ne sais pas le quart d'heure angevin?≫ (アンジェの15分のこと知らないの?)と聞かれた。
アンジェでは、約束の時間には最低でも15分は遅れてくるのがマナーだ、という意味だと教えてくれた。

その説明を聞いた時、私はやっと今までのことに合点がいった。そんな風習があるからみんな平気な顔で30分、1時間と遅れてくるわけだ。

そして男子たちには、「パーティーに一番のりで来るのは絶対やめておいたほうがいいよ。」と言われた。モテ女は最後に来るものなのだそうだ。一番のりは出会いを求めてガツガツしてる感じがするのだそう。

はぁ。
そんなこと言ってないで時間を守ろうぜ、と思っていた私だったが、留学を終える頃には15分どころではなくかなり遅れて行くようになっていた。郷においては郷に従えってやつだろうか。それともモテたかったのだろうか?

帰国して授業だ、バイトだと忙しい日本の生活に戻った私はすぐに5分前行動主義に戻ったのだった。
  
以上です、編集長!! (いないか…)

(この記事は以前やっていたブログに載せたものに訂正加筆したものです!)
 

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