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ほんの一部スイカ #毎週ショートショートnote

ある朝、僕の手が半分に切ったスイカになっていた。

僕の手は未来予知をして形状が変化する。スイカになってしまったのにも何か理由があるはずだ。

外に出ると街の大通りが騒がしかった。どうやら信号が壊れてしまったらしい。

そうか。今の僕なら信号の代わりになれる。

僕の手がスイカになったのはこのためだったのか。

僕は交差点の中央に立ちスイカになった両手をクルクルと反転させた。

車や自転車や歩行者が僕のスイカの赤と緑に合わせて動いた。

みんな僕のスイカの手に感謝してくれた。

その時、女の子が僕に声をかけてきた。

「あなたの手はとっても甘くてジューシーだわ」

キラキラとした笑顔に僕はひと目で恋に落ちた。

「手を繋いでもいいかしら」

スイカよりも顔を赤くして頷くと、彼女は僕の手を掴んだ。

その瞬間、僕の手に激痛が走った。驚いて彼女の手を見て、僕は自分の手がスイカになってしまった本当の理由がわかった。

これは運命の出会いだ。

たって、彼女の手はカブトムシだったんだから。

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