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世界にただ一人の画家になりなさい。

医師の家系に生まれ、医師になるものとして育てられた藤田嗣治が、
手紙でいかに自分が画家になりたいかという思いを伝えたとき、
父・嗣章がその手紙を持ちながら、目を閉じて言った言葉です
(先日の『yes!~明日への便り』)。

「これで画材を買いなさい」と言って渡された50円に
藤田は、手が震えたと言います。
後に画家になった彼が、当時の画壇に君臨していた
黒田清輝に反発し、黒田が嫌う黒を使い続けたというエピソードを
番組は「誰にも媚びないことで約束を守った」と結びました。

27歳でパリに渡り、生涯、パリで暮らした生き方の
根柢には、きっと父の一言があったのでしょう。

私が一部上場メーカーを辞めて、何の保証もない
無給のコピーライターの道を選択したとき、母に
「目の前が真っ暗になった」と言わせてしまいました。
しかし、母も父もその後、一切、
反対意見や愚痴は言いませんでした。
我が父母の気持ちを重ねたとき、
藤田の父・嗣章の言葉は、とても、とても重く、私の胸に響きます。
自分の理想を封じ込めて、息子の自由を100%尊重したのですから。

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