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6万人の「柏手」による祝祭。清水エスパルス30周年記念マッチ 2022.7.2SAT AT NATIONAL STADIUM.


清水エスパルスの選手は、ビジョン下の
マリノス・サポーターにも挨拶をした。

2022年7月2日(土)。新国立競技場に56,131人の観客を集め、
J1リーグ・清水エスパルス30周年記念マッチ
(J1リーグ第19節)が、
横浜F・マリノスを相手に開催された。
その数は清水のホームゲームでの最多入場者数、
そして、今シーズンのJリーグ最多入場者数だ。

ドラマチックなライティングによるキックオフ前。

拍手は「柏手かしわで」だった。

声を出すことを禁じられた、
その6万人近くの観衆が
拍手と鳴り物だけで「声援」を送る新国立競技場は、
あたかも巨大な祝祭空間と化した。
グリーンのピッチという舞台で、
ゴールという的をめがけて
行きつ戻りつする選手の様が、
能のシテとワキ的存在と重なる。

空気はときに音によって一変する。
神社の柏手の響きを約6万人規模に拡げた
異次元のサラウンドは、
鮮やかなグリーンのピッチを包み込むように、
あるいは強烈に縛り付けるように響き続けた。

新旧の「オレンジウェーブ」チアリーダーが集結した。

拍手は巨大な「囃子」でもあった。

ピンチのあとは、落ち着かせるように
「タンッ、タンッ、タンッ、タンッ」と4回から、

相手のいないスペースにボールが出たチャンスでは、
「タンッ、タッ、タンッ、タッ、タタタタ、タンッ」と
後押しをするかのように力強く、

一進一退の攻防では、
「タンッ、タッ、タッタ、タンッ、タ」と
チャンスを引き寄せるかのように。

そのとき拍手は、巨大な「囃子」のように、
試合の場を色付けていく。

「国立をオレンジに染める!」は現実になった。

拍手は「映画音楽」の色彩も加えた。

チャンスとピンチが目まぐるしく入れ替わる
サッカーというスポーツでは、
シテとワキが瞬時に逆になる。
起承転結の転から、結でゴールを
目指したかと思えば、
コンマ1秒で取り返されて、
今度は一気に相手の起承点結が始まる。
 
つまり、サッカーは数秒で終わる
ショートフィルムの繰り返しで、
その予測不能の筋書きに
期待や、失望や、励ましや、怒りや、歓喜の
気持を込める拍手のリズムは映画音楽、
だから観客は、
「音楽監督」の役割もあるんだ
と、確信した
NATIONAL STADIUMサッカー観戦だった。   

そして何よりも、
こんな体験を
届けてくれて、

ありがとう! 清水エスパルス!                            

              *

            ※以降「戦評」ほか。興味のある方のみ。

清水エスパルス3-5横浜F・マリノス。
サッカーで言えば完敗だ。
清水はバイタルエリアでのパス回しが緩慢で
再三、ピンチを招き、
たびたびフリーでのクロスを放置して
GK・権田修一の目の前にピンチをつくり過ぎた。
そして全体のパスの精度で明らかに劣った。
しかし2-5からの3点目に、
記念マッチとしての意地をみた。
落胆はしたが、

                                          また日曜日、アウェイで
                                             新たな気持ちを乗せた
                                                   拍手が鳴り響く。

ありがとう!30周年記念ベースボールシャツ。
「92」は初めての試合が 行われた1992年を指す。

               [おまけ]

地下鉄「青山一丁目」駅から新国立競技場に向かう途中の神宮球場ではこの日、
首位・東京ヤクルトスワローズが、横浜DeNAベイスターズ相手に2-1で勝利、
史上最速でのマジック53を点灯させた。帰りは4チームのファン達が歩いた。




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