悪魔

ついさっき口から出てきたばかりの悪魔が、目の前でへらへらと笑っている。
酒を飲んでいたわけでもないのに気持ち悪くなり、吐いていたらずるんと出てきたのだ。大変気持ちが悪い。
自分の口から出てきただけあって、自分とよく似ていた。容姿ばかりか、一つ一つの仕草から言葉遣いまで、すべてが自分と瓜二つだ。本当に気持ちが悪い。
どうしていいかわからないが、どうしようもないので少しの間だけおいてやることにした。

こちらの考えていること、特に一番気に障ることを的確に言ってくるのが非常に不快だ。
この性悪の悪魔ならこう言うだろう、という予想を微塵も裏切らないのが本当に不快だ。
こちらの気持ちを知りもせず、嫌いな自分を見せつけてくるのが寒々しいほどに不快だ。
悪魔には自分のいやな部分だけが詰め込まれていた。存在そのものが忌々しい。

心の底から、気持ちが悪かった。
とうとう、悪魔を殺してしまった。
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