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政治家を選ぶのに「選挙はやめてくじ引きにしたら」は正論か。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:民主主義の根幹は選挙という常識がひっくり返るかも。押しの強さをリーダーシップと誤解する選挙民はだまされているかも。独裁的リーダーが持つという典型的な3つの特徴とは何か。アメリカの大統領選はこれでいいのか?日本は論外か。

世界を不幸にしている政治家たち

ザ・最悪のプーチン、LGBTQ、人権や言論の自由への侵害を平気で踏みにじるトルコのエルドガン(Erdogan)、麻薬密輸容疑者たちを超法規的に殺害しろと命令を出したフィリピンのデュテルテ(Dutterte)、日本ではあまり報道されないけれど「混血の国は望まない」と公言し、ナチスを肯定するハンガリーのオーバン(Orban)。

いや、何もこれは僕が指摘しているわけじゃないんですよ、最新のニューヨーク・タイムズがそう言ってるんです。(ニューヨーク・タイムズWeekly 2023年9月3日号To improve )

結局、こうした政治家が世界を悪くしているわけじゃないですか。

でも、彼らは民主主義の根本装置である、「選挙」で選ばれているんですよね。

ニューヨーク・タイムズは、っていうか、この記事を書いたペンシルベニア大学ワートンスクールの組織心理学の先生アダム・グラント(Adam Grant)さんは、「選挙なんてやめて、政治家はくじ引きで選べ」って言ってるんですよ。

プーチンはサイコパス

さて、グラント先生によれば、「選挙なんてやるからプーチン見たいのが出てくる」というわけですが、この悪人(!)には共通項があるというのです。

彼らの特徴は3つです。
1.ナルシスト(narsissist自己陶酔者)であること

https://qr1.jp/u18lpn

2.マキアベリズム(Machiavelianism権謀術数)主義者であること
3.サイコパス(pshychopathy性格破綻)であること

これは心理学者たちが「パーソナリティ特質における3悪」と呼ぶものであり、これらを持つものは自然に権威に引き寄せられていくといいます。

なぜ、こんな最悪の人格を持った人たちが選挙で選ばれるかと言うと、人々が彼らの自信満々な振る舞いを(原文ではfearless dominance and superficial charm恐れなき支配と表面的な魅力)を能力(competence)と勘違いするからです。

グラント先生の調査によれば、初代から42代までのアメリカ大統領がナルシストであり、向こう見ずなリスクを犯し、非倫理的な意思決定をし、弾劾される傾向が強かったとのことです。

冒頭に上げたプーチン等現代の独裁者たちは、ナルシシズムに加えマキアベリズムも、サイコパスも入ってますから、世界は破綻しかけているわけです。

サイコパスって、性格破綻とか書きましたけれど、正確な定義は「アブノーマルな暴力や社会的行動につながる慢性的な精神疾患」、ということですから、これを持つ人がリーダーとして人々の上に立ったらまずいでしょ、って話ですよね。

サイコパス・イラスト https://qr1.jp/AszJxI

選挙はくじで、の説得力

グラント先生によれば、「古代ギリシャ・アテネでは、政府の役人、知事や首相だって選挙じゃなく、くじで選んでた」とのことで、民主主義の原点であるアテネでは現在をすでに見通していたのです。

先生が一番恐れているのが、現代のシステムでは、この三大悪性格をもったリーダーが選挙やってる限り世界に出てきちゃうことです。

ポピュリズムに乗っかってる政治家たちって、みんな「俺に入れろ、アタイに入れろ、問題解決してみんなを幸せにするから」ってがなってるじゃないですか。

あれってもう「三悪」丸出しじゃないですか。

グラント先生は、もちろん、くじ引きのリスクもわかってるんですよ。

くじ引きって、立候補した全員を対象に抽選できめるってことですが、

優秀で有能な政治家が選ばれないっていうリスク、これはたしかにあります。

でも、そのリスクを飲んでも、グラント先生は選挙はダメだって主張してるんですよね。

でも、アメリカって民主主義と資本主義が合体してるから、選挙という民主主義の装置はあるけれど、カネを多く出して効果的なネガティブキャンペーンやったほうが勝ちっていう、リアルなディープフェイクをずっとやってきたわけですよ。

これに乗っかるには自己顕示欲の権化、自我の塊じゃないとダメなんで、勢いナルシスト、目的のために手段を選ばず、◯チガ◯、みたいな破綻者が大統領になるんですよね。

いま僕、移民についての論文を書いていて、なんだかんだでアメリカが移民を受け入れてきたのは、アメリカのエトスにあるっていう結論を出したんですよ。

エトス(ethos)っていうのは、訳すのが難しいですが、根本精神みたいなものです。

アメリカのエトスとは、一言で言ってフェアであることなんです。良心といってもいいです。

リンカーン大統領は、そのアメリカのエトスが生んだ、理想の大統領でした。

しかし、今は三悪を代表するようなトランプさんを国民の半数が支持してるんでしょ。

嘆かわしい、個人的にはそう思ってるんですけれども、だから、なおのこと、大統領選もくじ引きにすべきではないでしょうか。

日本?

首相を選ぶのは選挙でも、くじでもない、民衆から離れたところで密室で自民党が決めているわけです。

論外、というしかありませんね。

来年は日本もアメリカも選挙の年、我々も考え直す必要があるのではないでしょうか。

野呂 一郎
清和大学教授


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