プーチン侵略を解き明かせるのは「社会心理学」だけだ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:社会心理学入門。時事問題なかんずく紛争(戦争)は、歴史を解き明かしてもわからないことがあるという事実。アイデンティティ・ポリティクスとは何か。
アイデンティティという時代のキーワード
アイデンティティ。
もはや日本語になっていますね。
自分が何者か、ということです。
自分の存在証明、という日本語がピッタリくることもあります。
プーチンがウクライナに進行したのは、長い歴史がどうのこうのではなく、複雑な国際関係が原因ではなく、帝国主義の国が他国の領土をぶん取ろうとする人類の業、でもありません。
原因はアイデンティティにあるのです。
プーチンのアイデンティティとは何か
これはロシア国民のアイデンティティとかぶるかも、です。
それは”無双の大国”という強い意識です。
西側に迫害を受けながら、世界に冠たる超大国。
冷戦はかろうじてロシア国民の大国意識という
プライドをくすぐっていました。
しかし、1991年のソ連邦解体で、ロシアの大国意識、言い換えればアイデンティティは消し飛んでしまいました。
プーチンにとっても、このことは屈辱以外の何物でもありませんでした。
この屈辱が30年の熟成期間を経て、爆発したのです。
戦争とは政治の継続である
戦争論で名高い、カール・フォン・クラウゼヴィッツのこの言葉はあまりに有名です。
問題は、「どんな政治なんだよ?」ってことです。
ニューヨークタイムズによれば、それは「アイデンティティの政治 politics of identity 」であるといいます。
アイデンティティの政治とは何か。
ネットで日本語、英語を調べると様々な意味があります。
例えば、あなたにとってのアイデンティティは、女性であること、かもしれません。
ある人にとっては、それはジェンダーレスかもしれません。
またある人にとっては、日本人であることがアイデンティティかもしれません。
いずれにせよ、アイデンティティ・ポリティクスとは、人々が持っている存在証明=生来的なプライドを政治の中心において、国民を動かす手法です。
プーチンはロシア国民のアイデンティティ、つまり「私たちは無双の大国なのだ」という無意識をくすぐったのです。
独裁政権に支持率などは無意味という声もありますが、プーチン支持が80%以上というのは、その意味でガチなのかなあ、と思うのです。
ロシアの怨念を甘くみた世界
ウクライナ東部でロシア人が迫害を受けているという、フェイクニュースは、ウクライナ侵攻への免罪符になりました。
いや、戦争をするための言い訳など、何でもいいわけです。
ウクライナ戦争を「ロシア人民が自らの存在証明をしたい」と、いう心理こそが、この戦争の原因であり、どんなデタラメでもきっかけが欲しかっただけです。
アイデンティティ、自己の存在証明こそが、人間を突き動かす最大のものであるという考え方は、学問的には「社会心理学social psychology」です。
社会心理学、言ってみれば大衆の気持ちを読む学問。
この戦争は、帝国主義のロシアが、またぞろ、領土拡大の野心のために起こしたのではありません。
ロシアが、プーチンが自らのアイデンティティ、つまりロシア無双というアイデンティティを取り戻すために行ったものなのです。
僕たちは、ロシア人にとってのソ連崩壊という屈辱の重さがわからなかったのかもしれません。
歴史でもない、政治でもない、国際関係論でもない、答えは社会心理学にあったとするならば、わたしたちは、社会心理学を学ぶべきなのかもしれません。
一つの学問に、すべての答えがあるわけではないということ、ですね。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?