日本の年功・終身雇用制度は米・銃乱射社会の処方箋になりうるのか。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:またもやアメリカで銃乱射事件。しかし一向に国民的反対運動が起きないのはなぜなのか。やはり資本主義の大きな陥穽と言わざるを得ない。乱射事件は社会の不安定や分裂の落し子というのならば、日本社会のシステムである年功序列/終身雇用は世界に誇れるシステムなのかも。トップ画はhttps://qr1.jp/JcGSCo
またも大量殺戮
10月28日、アメリカ東部のメーン州でおこった銃乱射事件では、少なくとも18人が死亡しました。
またか。
アメリカでは4人以上を殺傷した銃による大量殺傷事件が、昨年度は565件起こっています。
1日あたり、銃乱射が2件おこっている計算です。
これでも、アメリカ政府がなにもしないのは、ガンロビー(gun lobby)と言われる全米ライフル協会のシンパの議員のせいです。
彼ら彼女らはなにも動かない、あまつさえ「こちらも銃で武装しろ」という始末です。
メディアに圧力をかけ、銃による大量殺人のニュースを流させないようにすらしているんです。
資本主義の行き着く先
さすがに今回の襲撃事件で懲りたのか、これまで銃の規制に反対していた議員が賛成に転じました。
海軍に従軍していた経験のある民主党のジェアード・ゴールデン(Jared Golden)議員です。
共和党のスーザン・コリンズ議員も、銃規制反対のスタンスをやめ、強力な弾倉付きのライフルの発売を禁じる運動を行っています。
しかし、一向に銃乱射事件はなくならないし、反対の声も結局は押しつぶされてしまいます。
原因はもちろん資本主義です。
カネがすべてだから、人は金で動くから、人が何人死のうと自分が儲かればいい、のです。
ウクライナを米国が武器供給で支援している背後には、ロッキード社をはじめとした軍需産業の存在があります。
なぜ、今回のパレスチナ紛争で、アメリカが国連決議をひっくり返してまでイスラエルの方を持つのかというと、米国在住のユダヤ財閥の隠然たるパワーに、ひれ伏しているからです。
みぃんな、カネの力にひれ伏し、正常な思考すら失っているように見えます。
でも、それが資本主義ってもんですよね。
銃乱射社会アメリカの本当の問題点
一つは今回のメーン州の事件では、犯人が高性能の軍需仕様の銃を持っていました。
これは狩猟用ではなく、いかに短時間で人を殺すかという目的のために作られています。
堂々とそんな危険な銃が売られているんです。
弾倉の能力も強化されている銃も、販売されています。
また、精神疾患の病歴がある人物に、銃を売ることが規制されていないことも問題です。
しかし、根本の問題を指摘する人たちもいます。
それは、貧富の差が原因のアメリカ社会の不安定と分断を招いている、という見かたです。
大量虐殺に良心の呵責も感じないような精神は、社会の矛盾や貧困がもたらしたのだ、というのです。
客観的に見れば、2021年のデータでは、経営トップと従業員の報酬格差は米国企業では最大で5294倍で、一方、日本企業の最大は174倍です。
アメリカのほうが実力次第で巨額の給与がもらえると考えれば、アメリカ社会のほうが健全なのかもしれません。
しかし、出世の過程で成果が上がらないと容赦なく切られる社会と、年功と終身雇用というセーフティネットで無能でも会社にしがみつくことができる社会とでは、後者のほうが社会的安定が大きいのではないでしょうか。
銃乱射が極端なアメリカの競争主義の結果だとは言いませんが、ひるがえって日本を考えると年功序列、終身雇用が社会の安定に寄与しているということは事実であり、世界に胸を張ってもいいのではないかと、改めて考えるのです。
特に、銃乱射事件がひきもきらず、それでも何にもしないアメリカ社会を見るにつけ。
野呂 一郎
清和大学教授
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