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DEIという最新経営キーワードが松下幸之助翁そのものだったという衝撃。

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:ダイバーシティ(diversity多様性)、エクイティ(equity公平性)、インクルージョン(inclusion包括性)の頭文字をとってDEI(でぃ・いぃー・あい)経営だという。しかし、アメリカではすでに教育の鉄則になっており、企業へも浸透しつつある。でも、これを正しく解釈して、実行にうつしている企業は少ない。パナソニックはその稀有な例だ。

パナソニックの戦略

先日、授業でパナソニックの戦略をとりあげました。

一言でいうと、世界基準の正道をゆく戦略です。

具体的に言うと、私めが強調する3Dと、冒頭述べたDEIを意識した経営です。

3Dとは
1. Deglobalization (ディグローバリゼーション 脱グローバル化)
2. Digitalization (デジタライゼーション デジタル化)
3. Decarbonization (ディカーボナイゼーション 脱炭素化)

のことで、パナソニックは脱グローバルを、独自のサプライチェーンの構築ととらえています。

デジタル化は、まだ業務プロセスにデジタル化が不十分なところがあるから、それを是正するというのです。

脱炭素化は、車載電池の開発を、差別化の中心として推進していくということです。

パナソニックの本質を捉えるチカラ

ダイバーシティ(diversity)って、もはや流行語ですよね、でも、もともとが洋風の言葉と言うか、アメリカ源流の価値観なので、日本企業としては社員と共有すべく、共通言語化する必要があると思うんですよ。

それをパナソニックはやっていて、3Dとともに戦略の柱というか、企業の新しい哲学として自分のものにして、実行しているんです。

下手に僕が解説するよりも、パナソニックグループのホームページから、パナソニック流DEIとは何かを引用させていただきましょう。

「DEI」とは?


パナソニックグループHPより

「DEI(ディー・イー・アイ)」は、「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称です。企業経営において、社員それぞれが持つ多様な個性が最大限に活きることがより高い価値創出につながる、という認識が近年拡がりつつあり、DEIの取り組みが推進されています。
パナソニックグループでは、DEIを次のように定義しています。
Diversity(ダイバーシティ、多様性)
挑戦する一人ひとりの個性を互いに受け入れ、尊重し、個性に価値を見つけることです。
ここでいう個性とは、人の内面や外面、つまり価値観、文化、宗教、性格、経験、性的指向、性自認、人種、民族、国籍、言語、性別、年齢、障がい、健康、家族、社会的地位、学歴、職歴等のあらゆる違いを指します。
Equity(エクイティ、公平性)
挑戦する一人ひとりに対する機会の提供の公平性を追求することです。
それは一人ひとりの個性に応じて、誰もが情報やツール、仕組みなどを活用して挑戦する機会を得られるように支援し、公正に処遇する職場を実現することです。
Inclusion(インクルージョン、包括性)
挑戦する一人ひとりが個性を発揮し、組織として活かしあうことです。
それは会社の目指す方向に向けて貢献したいと願う一人ひとりが主体的に経営に参加し、言うべきことを言い合える状態です。その結果、私たちはより高い価値を生み出すことができます。

DEIとは松下幸之助そのものだった!

松下グループ、いやパナソニックグループが、只者ではないのは、他の企業のように欧米の流行語をノリみたいな感覚で軽く使う、なんてことが一切ないことです。

しっかり言葉の意味や意義、歴史的必然性、企業のあるべき姿などを総合的に考えて、理解し、解釈し、そして取り入れているのです。

パナソニックグループの創業者と言えば、天下の松下幸之助で、彼の「水道哲学」は、あまりに有名です。

在りし日の松下幸之助 パナソニックグループHPより

水道哲学とは、つまりあらゆる人に水道の蛇口をひねれば電気が出てくる恩恵に預かってもらおうという、「公共心」にほかなりません。

びっくりするのは、以下のようにパナソニックグループは、DEIは新しい洋風の言葉だが、実は創業者の哲学そのものだ、と喝破している点です。

これも、下手に僕が解説するより、ホームページから引用したほうがよさげなので、そうしますね。

DEI(ディー・イー・アイ)は、最近登場した新しい概念のように思われがちですが、じつはパナソニックグループのルーツそのものです。⼀⼈ひとりが持てる能⼒・スキルを最⼤限発揮し、お客様や社会へのお役⽴ちを果たすため、DEIの取り組みをグループ全体の経営基本⽅針の実践の⼀つとして位置付け、推進しています。

パナソニックグループHPより

どうでしょうか、松下の戦略には「自社の成長や繁栄」というワードが全く見つからないんですよ。

いや、もちろん企業は利益を上げることが、社会的使命に決まってますから、そんなことは言う必要ないかもしれません。

しかし、グループの目指すところは、まずは「正しい社会貢献」ということなのです。

僕は、ある種の感動をおぼえた次第です。

野呂 一郎
清和大学教授

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