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日本の会社に生きがいは、ない。(大学生向け)

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:希望退職にみる、日本企業で働く生きがいはあるか。今日の人的資源管理の大学講義をプレイバックしてみたよ。

希望退職が増えている

キミたちは考え違いをしている。

日本の会社に勤めたって、生き甲斐なんてないのさ。

えっ、昨日までさんざんイーロンマスク方式の、何でもかんでもクビを切る欧米式を非難してたくせに、今度は日本式もこき下ろすのか、って?

そうだ。

だって、今、見ただろう、ちょっと古いけど、NHKの「クローズアップ現代・希望退職の巻」を。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3go4Fx9

便器を作っている大手の会社が、希望退職を募って、会社の予想以上に、退職希望者が出てきちゃったって話だったね。まとめるとこうなる。

・現実として、日本企業はもう終身雇用制度を維持できない

・住宅新規受注が減り、便器の生産も減り、人件費に手を付けなくてはならなくなった某社は、もう珍しくもなんともない、希望退職を募った。

・ 退職金に色をつけるなどして、希望退社を募る会社は辞めやすい工夫をしている

・ やめる理由は以下。会社に定年までもつか期待できない、高額な退職金が魅力、仕事にやりがいが持てない、新たな生きがい探し。

・辞めてはみたものの、あたらしい職がみつからない
 

NHKクローズアップ現代より

会社はやめてはならない

この希望退職の現実は、日本企業の問題点を如実に物語っているんだ。これも「べからず調で」まとめてみよう。

1.  退職金上積みされても会社にしがみつけ

ほら、結局今の待遇よりいいところなんてあるわけないんだよ。収入は半額になると覚悟しろ。下手すると仕事がない、そういう意識がないのは、大企業病だ。

2.  うぬぼれは致命的と知れ

大企業の部長をしてたから、引く手あまただろうと思った、って?

わかってないんだよな、それは会社の名刺で仕事をしてたからだよ。ゼロから開拓する中小企業で、そんな甘ったれがどうやって役に立つんだ。

3.  35過ぎたら仕事なんてないって

それが現実だ。そんなの知らないで希望退職に応じたって、どこまで世間知らずなんだよ。

4.  銀行は冷たいぞ。

収入が減ったから、当座銀行借り入れでローンに宛てたい?銀行は大企業をやめたお前なんかクズ決定だから、貸すわけないだろ。

5. コンサルは甘くない。

新事業を立ち上げたから、そのノウハウを持って独立する。

今までのキャリア経験を生かして、コンサルタントをやろうってのね。

だけど、実戦経験だけじゃ、普遍性がないから説得力がないんだよ。あわせて勉強はしたの?なにか論文でも一つ書いたの?

6.  そんなに給料もらえないって。

2,3割減でも御の字。でも、40でやめるバカいるかよ。子供の教育に一番金がかかる時期じゃねえか。

生き甲斐なんて考えるな


生き甲斐がないから、辞める?

生き甲斐なんて、日本の企業にないんだって。

それはこの前、ジョブ型とメンバーシップ型で説明したように、ジョブっていう概念は日本企業にはないんだって。

生き甲斐って、でも、ジョブにしかついてこないんだって。

このNHKの特集に象徴的な事例があった。

会社の物流システム構築に携わっていたAさん。生きがいを持って働いていたが、システムが完成したとたんに他の部署に回されてしまった。折しもその時、他社から「うちの新・物流システムを作ってくれ」と誘いがかかった。給料は3割減るが、生きがいを選び転職した。

前掲テレビ番組

Aさんは、物流システム構築というジョブを選んだのだ。

でも、転職した先で配置転換に遭い、生きがいを失う可能性だってある。

欧米ではジョブはあなたのもの。でも、日本では会社のものなんだ。

単身赴任という非人間性

希望退職の理由として、単身赴任がイヤだから、というのがあった。

わかってないんだな、日本の組織のしくみが。

さっきから言っているように、日本企業の労務システムのカギはジョブ型と反対の、いわばローテーション型だ。

ジョブなんて重視してないんだよ。

誰かを当てはめればいいんであって、能力なんて適当でいいから、ジョブはそのままで、ひとをとっかえひっかえ宛てがっていくんだって。

働く場所の選択なんて、認めてくれないんだって。

「北海道に行きたくない、妻と子供と一緒にいたい」って?

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3TZk9Fw

「そんな甘ったれたことを言うなら、やめろ。日本のサラリーマンなら転勤は当たり前だろ」。

人事にそう言い返されるのは必至だ。

単身赴任こそ、配置転換、ローテーションの象徴なんだって。

生きがいより安定なら日本の企業

仕事を覚えて面白いと思ったとたんに、配置換え人事異動なんだって。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3TSnQwJ

くるくる回る仕事に生きがいなんて持てるか?

そもそも、だから、日本の組織に生きがいなんて求めちゃならないんだって。

生きがいの代わりに、生活の安定をくれるんだ、クビにならないってことだけなんだけどね。

あなたがツイッターのITエンジニアで、今回イーロン・マスクに首を切られたとしよう。

でも、あなたのジョブ・スキルは市場価値がある。

クビになったとはいえ、有能な仲間から刺激をもらい、スキルアップした。

新たな職場では、パワーアップしたジョブの力を思う存分発揮できる。

仮にまた、マスク氏みたいな気まぐれ経営者に解雇されても、ジョブのスキルは生きる。

ジョブは変わらないままで、会社は変わる。

ジョブで勝負するという生き方、ローテーションでくるくる回されるいき方と、どっちが生きがいがあるだろうか。

その答えは、キミの価値観によって変わるだろう。

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

じゃあ、また明日会おう。

                             野呂 一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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