日本の会社に生きがいは、ない。(大学生向け)
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:希望退職にみる、日本企業で働く生きがいはあるか。今日の人的資源管理の大学講義をプレイバックしてみたよ。
希望退職が増えている
キミたちは考え違いをしている。
日本の会社に勤めたって、生き甲斐なんてないのさ。
えっ、昨日までさんざんイーロンマスク方式の、何でもかんでもクビを切る欧米式を非難してたくせに、今度は日本式もこき下ろすのか、って?
そうだ。
だって、今、見ただろう、ちょっと古いけど、NHKの「クローズアップ現代・希望退職の巻」を。
便器を作っている大手の会社が、希望退職を募って、会社の予想以上に、退職希望者が出てきちゃったって話だったね。まとめるとこうなる。
会社はやめてはならない
この希望退職の現実は、日本企業の問題点を如実に物語っているんだ。これも「べからず調で」まとめてみよう。
1. 退職金上積みされても会社にしがみつけ
ほら、結局今の待遇よりいいところなんてあるわけないんだよ。収入は半額になると覚悟しろ。下手すると仕事がない、そういう意識がないのは、大企業病だ。
2. うぬぼれは致命的と知れ
大企業の部長をしてたから、引く手あまただろうと思った、って?
わかってないんだよな、それは会社の名刺で仕事をしてたからだよ。ゼロから開拓する中小企業で、そんな甘ったれがどうやって役に立つんだ。
3. 35過ぎたら仕事なんてないって
それが現実だ。そんなの知らないで希望退職に応じたって、どこまで世間知らずなんだよ。
4. 銀行は冷たいぞ。
収入が減ったから、当座銀行借り入れでローンに宛てたい?銀行は大企業をやめたお前なんかクズ決定だから、貸すわけないだろ。
5. コンサルは甘くない。
新事業を立ち上げたから、そのノウハウを持って独立する。
今までのキャリア経験を生かして、コンサルタントをやろうってのね。
だけど、実戦経験だけじゃ、普遍性がないから説得力がないんだよ。あわせて勉強はしたの?なにか論文でも一つ書いたの?
6. そんなに給料もらえないって。
2,3割減でも御の字。でも、40でやめるバカいるかよ。子供の教育に一番金がかかる時期じゃねえか。
生き甲斐なんて考えるな
生き甲斐がないから、辞める?
生き甲斐なんて、日本の企業にないんだって。
それはこの前、ジョブ型とメンバーシップ型で説明したように、ジョブっていう概念は日本企業にはないんだって。
生き甲斐って、でも、ジョブにしかついてこないんだって。
このNHKの特集に象徴的な事例があった。
Aさんは、物流システム構築というジョブを選んだのだ。
でも、転職した先で配置転換に遭い、生きがいを失う可能性だってある。
欧米ではジョブはあなたのもの。でも、日本では会社のものなんだ。
単身赴任という非人間性
希望退職の理由として、単身赴任がイヤだから、というのがあった。
わかってないんだな、日本の組織のしくみが。
さっきから言っているように、日本企業の労務システムのカギはジョブ型と反対の、いわばローテーション型だ。
ジョブなんて重視してないんだよ。
誰かを当てはめればいいんであって、能力なんて適当でいいから、ジョブはそのままで、ひとをとっかえひっかえ宛てがっていくんだって。
働く場所の選択なんて、認めてくれないんだって。
「北海道に行きたくない、妻と子供と一緒にいたい」って?
「そんな甘ったれたことを言うなら、やめろ。日本のサラリーマンなら転勤は当たり前だろ」。
人事にそう言い返されるのは必至だ。
単身赴任こそ、配置転換、ローテーションの象徴なんだって。
生きがいより安定なら日本の企業
仕事を覚えて面白いと思ったとたんに、配置換えなんだって。
くるくる回る仕事に生きがいなんて持てるか?
そもそも、だから、日本の組織に生きがいなんて求めちゃならないんだって。
生きがいの代わりに、生活の安定をくれるんだ、クビにならないってことだけなんだけどね。
あなたがツイッターのITエンジニアで、今回イーロン・マスクに首を切られたとしよう。
でも、あなたのジョブ・スキルは市場価値がある。
クビになったとはいえ、有能な仲間から刺激をもらい、スキルアップした。
新たな職場では、パワーアップしたジョブの力を思う存分発揮できる。
仮にまた、マスク氏みたいな気まぐれ経営者に解雇されても、ジョブのスキルは生きる。
ジョブは変わらないままで、会社は変わる。
ジョブで勝負するという生き方、ローテーションでくるくる回されるいき方と、どっちが生きがいがあるだろうか。
その答えは、キミの価値観によって変わるだろう。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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