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メモ:地域経済とマーケティングの話

経済学部のゼミが新潟市と共同で行う「持続可能な商店街の仕組つくり」というテーマの研究にて、内野商店街の一商店主としてインタビューを受けた。マーケティングの研究室からのインタビューだった。

質問の一つ目が“内野商店街の課題は何か”だった。そもそも「課題」を解決することでは、土地に「生活」は生まれない。全体の一部を対処療法することによって、新たな「課題」は生まれる。これは物事の一側面から考えたのでは捉えることはできない。商店街の活性化に対してアプローチした結果、生活者の住環境や福祉にマイナスの影響を及ぼすこともある。もちろんよりプラスになることもある。

二つ目に話したのは、「大きい経済」と「小さい経済」の話。商業地域や郊外にある大型商業施設と同じようにマスマーケティングによる集客は、ヒトを土台とする商店及び商店街の営みを阻害することがある。

三つ目に話したのは、「ビジネス」と「商売」の話。永続的に経済活動を続けていく「ビジネス」と、店も客も人をベースに商いをする「商売」では、時間のスピードとスパンがまったく違う。ただし、大型商業施設や工場生産のプロダクトは生活インフラとして必須。これを否定するものではない。

「持続可能な商店街」というテーマに対する一つの提案は、「地域」を越え循環を生み出していくこと。 「経済」を対象とするとき、制度系によってへだてられる「地域」で区切りをつけると衰退する。そもそも地に近い「経済」はヒトモノコトを介して自然な流れで拡がるもの。それが「商売」だとしても、各々が経済を囲おうとしないこと。
持続可能な経済を考えることと、持続可能なビジネスを考えることはまったく別のもの。 一つの大きな経済圏を、例えば「新潟」を対象とするにしても、人間がつくった「制度」をもとに土地を分割した「地域」に生活やその営みは収まらない。 かつて「古町」は北前船の就航で栄えたが、それはたくさんの人を呼び込んだから活気があったわけではない。海路を介して全国の都市に街を開き、その道の上に古町があったからである。 持続可能な経済を対象とするのなら、「流れ」を止めないこと。

よって、そもそも「持続可能な商店街(=経済圏)」を思考するためには、人間が生きる速度に立ち返り、その生活を「仕組み化」しようとするフレームから脱却することから始める必要があるのではないか。

また「経済圏」を考えることは、価値の交換の積み重ねによって生じる「文化」、それを共有して行った先にある「文化圏」を考えることに通ずる。



制度と装置として文明をとらえる : 梅棹忠男
現在をとらえる : 雑誌 日常1,2
文化と民族をとらえる :

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