「やるしかない」
日曜朝8時半
ラグビー部の練習が始まる
高校生の朝は早い
いや大学生の朝が遅いだけだ
僕は縁あって母校ではない高校のラグビー部で
カッコよくいえばアドバイザーのような
役割を担っている
飾らずいえば運動不足解消のために
いや違うか
都湯に最高のコンディションで行くために
高校生の練習に混ざって汗を流している
ただの暇人大学生である
チームは3年生最後の大会を5日後に控えている
そんな中グラウンドに集まる部員は8名
なんと部員の半数以上がコロナ陽性もしくは
濃厚接触者という極めて深刻な事態に陥っている
ただ時は待ってくれることもなく
3年生の引退がかかった
花園予選1回戦まで残り5日となっている
そんな状況でも
監督もコーチもOBも当然熱が入っている
「今いるメンバーが病み上がりのメンバーを引っ張っていかなければ1回戦を落とすことになる」
監督がそう話すとグラウンドに立つ全員が
その意識で練習に取り組み始めた
全体練習終了後は
部員が円になって僕、OB、コーチ、監督と順に話す
僕の後に話したOBの方は
「君たちは今苦境立たされている。だけど、これもひとつのストーリーと考えれば問題ない。いいストーリーを一人ひとりが描いてその為に今できることをやろう。」とさすが新聞社でのライター経験を持つ方の言葉だった。
続けて監督は「このチーム状況で勝てたら(ラグビー以外でも)自信になる。残りの練習は4回。だけど最後の日は調整練習。だから実質3回。3回しかない。気合い入れていこう。」と話していた。
熱い監督、熱いコーチ、熱いOB、そして普段はちょっとだけ冷めている部員たち
だけど今日は違った
選手の顔立ちを見ると
真剣な眼差しの中に闘志がみなぎっていた。
“やるしかない”
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