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【映画】マッチングを観てしまった-ネタバレてんこ盛り

◆結論◆
よくわからなかった

前回鑑賞した「夜明けのすべて」がとってもよかったものだから、
気をよくしてまたも日本映画を鑑賞することにした。

夜明けのすべて公式サイト

そのレビューはこちら

今回もまた空いた時間の有効活用としての映画鑑賞だった。
その日の予定は14時に銀座での野暮用と19時から表参道でイベント参加。
14時からの用事は1時間程度。移動時間を考えても3時間ほどの空き時間が生じる。3時間も銀座をぶらぶらするにはお金も気力もない。どう時間を潰すか。いや待てよ、ここら(銀座、有楽町、日比谷)は映画館地帯ではないか。東劇も東映も東宝も(東ばっかり)なんでもある。とりわけ東宝はTOHOシネマズで、本日火曜日は会員デーなので1300円で観ることが出来る。銀座で3時間を1300円で過ごせる。なんてコスパがいいんだ。というわけでさっそく空き時間に観られる映画をリサーチ。なかなかうまい具合に時間が合う映画がなかったが、「マッチング」とやらが前の予定が押したとしても間に合う、そして次の予定にも間に合うちょうどよい塩梅のスケジュールだった。
まさにマッチング!
というわけで土屋太鳳主演の「マッチング」を鑑賞することになった。
さてさてどんな映画だったんでしょうか!

まずは公式サイトをどうぞ

この公式HPは軽くネタバレしてるんだな。いかんでしょ。
そしてこの予告、”夜明けのすべて”でも流れてたんだけど、
あんまり気にしてなかった。ああ、もっとちゃんと気にすればよかった。
気にしてたら、ちゃんと観てたら…観なかった。

マッチングアプリで知り合い結婚したカップルばかりが殺される事件が発生する。そのどのカップルも同じ式場で挙式をしていたが、その式場でプランナーとして勤めているのが主人公の女性りんか。りんかは父親と二人暮らし。母親はりんかが4歳の時に家を出て行ってしまった。父娘の関係はよく2人で食事をしたり飲みに行ったりもしている。りんかの職場の同僚は彼氏がいない彼女にマッチングアプリに登録するように勧める。気乗りしなかったりんかだが、同僚が勝手に登録をしてしまった。すると瞬く間にたくさんの反響があった。その中で気になる男性にメッセージを送るが、次々にメッセージが送られてきて気味が悪くなる。一方、マッチングアプリの開発会社は式場とタイアップをして連続殺人からの悪いイメージを払拭しようとする。りんかは同僚に促されてアプリ会社のプログラマーにマッチングした男性について相談をする。すると過去に他のサイトでも問題を何度か起こしている男性だと言われる。結局りんかはその男性と会うことになるが、やはり気味の悪さは変わらず、適当に理由をつけて帰宅をする。また一方、父親は25年前に当時はやっていたパソコンのチャットルームを介して1人の女性と知り合い関係を持っていた。しかししつこく迫ってくる女性に嫌気がさし、一方的に別れを突きつけた過去がある。その女性がまた彼の前に現れ始めたことで混乱をする。
連続殺人事件、マッチングアプリで知り合った男性、そして父親の過去の出来事。これらは関係しているのか。果たしてりんかはどうなってしまうのか

とざっくりいうとこんなあらすじ。
さて、この話、何をどう解説すればいいのだろうか。①盛り込み過ぎのような気がするし、②説明が少なすぎて、そのキャラクターの背景がわからない。③登場人物が少なすぎるので犯人はすぐにわかる。無能な警察が登場するのはお約束としても④一般人の個人情報特定能力が凄すぎるし、⑤警戒心があるのかないのかわからん。
など、どうにも不可解な映画なんだな、これが。
というわけで解体していこう!

①盛り込み過ぎ
あらすじにも書いたけど、連続殺人、マッチングアプリ、同僚の死、母親の失踪、過去の不倫。一応、点が線につながることはつながるんだけど、やや強引というか、都合よく進んでいるというか。しかも途中からマッチングアプリ関係なくなるし。
②説明が少なすぎて、そのキャラクターの背景がわからない
マッチングアプリで知り合った男性(トム)は「僕は不幸な生い立ちなんです。生まれてすぐコインロッカーに捨てられて…」と初対面で暗く自己紹介するけど、それが事実なのかわからないし、後からわかる場面もない。
トムの出生の秘密って大事だと思うんだけど、説明ないんだよね。
【ここからネタバレ】不倫の挙句に妊娠、しかし男に捨てられる。悲しいけどよくあることなのよね、なんてスレッガー・ロウのようなことが通じるわけもなく、別れを切り出されて逆上した女は不倫相手(りんかの父親)を刺してしまう。【ネタバレここまで】まあ初犯で計画性がないので執行猶予がついた判決だったとして、出所して出産してコインロッカーに放置したとしても、そのあとは児童福祉施設で18歳くらいまで過ごすことになると思うんだけど、自分がコインロッカーに捨てられた、っていうのはどういう経緯で知ったのかしら。新聞とかをネットで調べまくったおかげで検索能力がすごいことになってにつながるとかかね。このへん描かれていないから、「不幸な生い立ち」っていったって「不幸な生い」しかわかんないって。
③登場人物が少なすぎるので犯人はすぐにわかる
これね〜誰でもわかるって。サイゼリアの間違い探しのほうが難しいって。
コナンみたいにたくさんはいらないけど、「怪しい人」もう1人くらい欲しいよね。【ネタバレ始まる】まあもう1人いるんだけど、それがキャッチコピーの「ラスト1秒、あなたの愛が反転する」ってことなんだけどもね。
でもねぇ、これ
「ふうん」くらいなものだった。理由のある殺人犯なのか、殺人自体が目的のサイコパスなのか、ソシオパスなのか。そのあたりがわからなすぎるので
煙に巻かれちまった感じがしてモヤっとする。
④一般人の個人情報特定能力が凄すぎる
公式HPでわかるように、2人の男性がやらかすんだけどさ、
トム(なんか小柳トムが浮かんじゃう)は、マッチングした女性(りんか)を調べまくって母親まで行き着くんだけど、これがすごい。普段彼女がどれだけSNSで個人情報をさらけ出していたかまでわからないけど、自宅まで見つけ出すストーカー行為はあながち演出としてやりすぎとも思えないし、実際にありそうな話だけど、【以下ネタバレ】りんかの父親の25年前の浮気相手が自分の母親と突き止めるとか。それどこ情報なんだい。
一方のプログラマー(影山)は、りんかがマッチングアプリに登録したプロフィール写真にある四葉のクローバーの絵(りんかが幼少の頃に描いたと思しきもの)から、りんかの父親が自分に母親の相手と知るんだけど、
これもこれですごい特定の仕方ではないか。四つ葉のクローバーの絵を描く子供はそんなに少ないのか。結果として父親だったからよかったけどさ。
これもまた観客を煙に巻くような感じでモヤっとするんだわ。
⑤警戒心があるのかないのかわからん
【いきなりネタバレ】結局影山は逮捕されて一安心。って思ったのか、りんかはトムに「また水族館に行こう」とデートに誘うのよね。そう、いきなり暗い自己紹介をした水族館。で、りんかのほうから手をつないちゃうんだよね。さんざん「愛している」って言われたし、最後自分を庇って怪我をする、なんてこともあったから”きゅん”ってなっちゃったのか。まあそんなことはいいんだけどさ、トムが不倫の果ての子供だとしたら、りんかとは異母姉弟なわけでしょ。影山にしろ、トムにしろ、そのことはわかっているはず。言ってあげなさいよ、教えてあげなさいよ。でもね、トムの「愛している」は家族としてなのか。トムが仕事中に見つけた家族写真を嫌がる遺族に渡すシーンも「家族がほしい」と匂わせているのか。なんて思っていると、アイコラでりんかと挙式写真を作っちゃうのはアッパーカットもの。ジョークなのか本気なのかわからんキモさがあるんだけど、どうしたもんか。

で、本筋とは関係ないところで気になった箇所は、
・取引先との打ち合わせ中に私用のメッセージを見るりんか
・やはり打ち合わせ中に仕事と関係ないヒソヒソ話をするりんかと同僚
・以前にも警察沙汰になっている人が問題なくサイトに登録ができる運営
・弔問客がいる中、しかも雨の中、アリバイみたいな確認をする無能警察
・マークするべきであろう人物が行動確認もなく野放しにする無能警察
・立ち入り禁止の団地に何の躊躇いもなく入っていくりんか
・仕事用の軽バンで結構遠くまで私用で行っちゃうトム

書き出しみると結構あるなー。てかありすぎでしょ。

ああ、影山は少年時代に母に連れられて、不倫相手(りんかの父親)の家に上がり込んでいるのよね。そんなことを全く知らない父親は家に帰ってびっくり仰天。「なんか気が合っちゃって。」と無邪気にお茶を淹れる妻を見て、顔面蒼白になるんだけど、まあ危険な情事だわよ、まんま。
ウサギは煮えてないけどね、妻は女に拐われちゃったよ。
ほら、マッチングの話、関係なくなってるでしょ。

****
3時間の暇つぶしって考えれば、1300円はコスパはいいかもしれないけど、
冷静になって考えると、やっぱり無駄遣いだった感が否めない。
でも映画って観ないとわかんないからね。仕方ないか。
土屋太鳳はまずまずの演技だったし、斉藤由貴も怪演でいいんじゃない。
佐久間大介は

Snow Manだけど真っ黒な衣装だった。

演技に関しては可哀想だったな。へたとかそういうのじゃなくて、なんかキャラクター設定が乏しいから研究のしようがなかったんじゃないのかと思いたい。キャラクターっていう映画の中でFukase演じる完全サイコパスはそういう設定だったのでFukaseは本当にサイコパスぽかった。映画自体はアレだけど。

キャラクターのボロクソ批評

この映画(マッチングのほうね)について「原作を読めばわかります」みたいなコメントを見かけたけど、この作品、原作も脚本も監督も同じ人。

だったらなんとかせんかい。


と思わずにいられない。

この映画観ても、マッチングアプリが怖くなることはないと思う。
そこは安心していいと思う。でも

くれぐれも個人情報の取り扱いは慎重に。



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