見出し画像

いい答えを出すより いい問いを生み出すこと

日本の教育では、幼稚園から社会に出るまでずっと必ず答えのある問題を問われ続けます。「1+1=2」のように明らかな答えが用意されていて、それさえ知っていれば誰でも簡単に教えられるように、教育のシステムが構築されているのです。そして与えられた問いに「上手に答えられる子=頭がいい子」として認定されます。さて、本当にそうなのでしょうか。

「1+1=2」のように答えのある問いは、過去に誰かが発見して証明したから存在しています。だからどんなに与えられた問いの答えを上手に出す練習をしても、新しい発見ができるようにはなりません。むしろ思考にとっては、良い答えよりも良い問いを見つけようとすることのほうが、はるかに大切なのです。そう考えると、日本の教育がどれだけ残念な手法を取ってしまっているか、よく分かりますね。

実際、社会に出れば、正解のない問いが山程出てきます。そういった問いは、そもそも問いから疑ってかからないと答えの本質に近づけません。たとえアルバイトの仕事であっても、配られたマニュアルを読み込んだ上で、もっと効率的で上手くできる方法を探して、マニュアルを変える提案をすることが、仕事への正しい取り組み方だと思います。もしあなたが何かのプロになりたいと願うなら、基本を学んだ後は、更に高みを目指すために、誰も考えたことのない新しい問いを問おうとするべきでしょう。

デザインにおいて、多くの人はクオリティの高いものをつくることが創造力だと錯覚しています。クオリティの高さはもちろん重要ですが、それは与えられた問いに対する答えの点数が高いのと同じこと。本当の意味での創造力とは、そこに新たな問いを立て、疑問を投げかける力なのです。良い問いさえ見つかれば、それに高いクオリティで答えるのは難しいことではありません。デザインの根本にあるコンセプトの強さは、問いかけの強度によって決まります。本質的な問いこそが、本質的な答えにたどり着く道です。

Photo : クリエイティブ市民のための6つの手引き(2015)
横浜のクリエイティビティを向上するための、6つの創造都市に対する提言をつくり、グラフィックウォールにした。
展示にやってくる市民は、ポジティブな意見を青、ネガティブな意見を赤で壁に書き、行政に意見を伝えることができる参加型インスタレーション。カラーメガネをかけると、それぞれの立場の意見を見ることができる。
Client : YCC ヨコハマ創造都市センター

https://amzn.to/2HqPfWu

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?