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【園館訪問ルポ】伝統と災害の記憶──日本モンキーセンター「モンキーバレイ」 焚き火にあたるサル(愛知県犬山市)

気がつけば、次々と台風が生まれ日本列島に向かってやってくる季節が来ましたね。真夏の陽射しも厳しいこの頃ですが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
今回の園館訪問ルポは、「台風」にまつわるエピソードが中心です。

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愛知県犬山市国宝であり現存最古の天守閣が残る犬山城のお膝元に、世界でも屈指のサル類専門動物園「日本モンキーセンター」があります。

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モンキーセンターの冬の風物詩は、「焚き火にあたるサル」。この園を訪問したことがなくても、東海地方で暮らしたことのある方は、ニュースなどで目にしたことがあるのではないでしょうか。

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焚き火を囲み、焼いたイモを頬張る姿が、どこか人間くさく愛らしいサルたち。しかし、いつから彼らは、火を恐れなくなったのでしょうか。

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キーパーズトークでは、焚き火の由来についても教えて頂くことが出来ました。1959年9月26日、東海地方を襲った伊勢湾台風。大量の廃材が発生し、処分に困ってモンキーセンターで火にかけたところ、サルたちが集まってきたことで、毎年見られる文化として定着したということです。

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ことし、2019年は、伊勢湾台風発生から、60年の節目に当たります。死者・行方不明者 5,098名。この大災害のあとも、様々な災害が日本で発生しました。この列島で生きている限り、私たちは天災と無縁ではいられません。

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上野動物園の園長を務めた古賀忠道博士には「動物園は平和そのものである」/"Zoo is the peace."という名言があります。

動物園という「アジール」──ある種の自由領域、平和の園においても、災害との付き合いは大きな主題になりつつあります。

熊本地震で大きな被害を受け、心無いデマにも苦しんだ熊本市動植物園の復興は、多くの人たちから応援を受けました。

災害、復興、鎮魂。ヒトとサル、種の壁も超えて焚き火を囲む心安らぐひとときは、同時に日本という島に重たく横たわる主題と向き合う時間でもありました。
動物園という場を通じてこの地を襲った大きな災いに思いを馳せることも、大切な契機のひとつなのかも知れません。

現在、日本モンキーセンターは、多くの方からの「ご支猿」を必要としています。
この場所がこれからも霊長類を通じて人間と自然を見つめる「窓」で在り続けられるために、微力ではありますが、今後もいっそう応「猿」していきたいと思います。

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