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リンダカラー∞の芸風はイノベーションである。そして一発屋についての雑感。

僕の信者からこんな質問が届いていた。

最近面白いアイデアが思いつかなくて、noteの投稿がなかなか書けません。
どうしたらいいですか?

なんだ。そんなことか。

たしかに、noteを毎週書いていたら書くネタもなくなってくるよな。
面白い事件なんて頻繁に起こるわけがない。
書きたくてもコンプラ的に書けないなんてこともよくある。
だが、そんなときはこうすればいい。


自分で事件を起こすんだ。



というわけで、最近僕はリンダカラー∞にハマっている。

カリスマキャラを武器に、昨年のおもしろ荘で2位になって一気に有名になった。らしいのだが、僕が彼らを知ったのはつい先週だ。

YouTubeのショート動画に流れてきた「チャンスの時間」の切り抜きにリンダカラー∞のフロントマンであるDENさんが出演しており、どのひらがなからでもカリスマで返す「カリスマしりとり」なるものが披露されていた。
結局周りとの掛け合いがいろいろあり結局その動画内ではカリスマしりとりを見れなかったのだが、これがどんなものか気になってリンダカラー∞について調べてしまったのだ。

そこから動画を見るうちにあの音楽と後ろ2人のダンスがクセになり、まんまとハマってしまった。

正直、爆笑するような面白さはない。
だが、なんかクセになる。

本人たちもネタの中で触れているが、ブルゾンちえみwithBとオリエンタルラジオの要素を掛け合わせた感じだ。

世間の声では上記2組の芸人を持ち出して「パクリだ」と非難する声も散見されるが、僕は嫌いじゃない。

むしろ、既存と既存を掛け合わせて新しいものを創るというのは、典型的なイノベーションの営みだ。自信を持っていい。(そんな心配しなくても彼は自信満々だが。)

iPodにPCを組み合わせることでiPod touchが生まれ、iPod touchと携帯電話を組み合わせることでiPhoneが生まれた。

これらシュンペーターの言うところ「新結合」であり、パクリだと非難するのはナンセンスであろう。


とはいえ、キャラ芸人は人気が出にくく、一発当てることすら難しいと言われる今日この頃、あえてこのキャラで出てきたのは相当勇気のいることだと思う。
人気もじわじわと出てきた段階だと思うので、まだ売れたとは言えないが、なんとか頑張ってほしい。


さらに難しいのが、一発当てたとしてもそれで終わりがちなことだ。
歴代数々の一発屋芸人は一発当てると世間からしゃぶりつくされすぐに表舞台から姿を消してた。

ずっと活躍し続けているのはそれこそオリラジくらいだろう。
武勇伝が飽きられてもチャラ男キャラで藤森が復活し、Perfect Humanでコンビが復活した。今もあっちゃんはYouTubeなどで人気を博している。

オリラジのように活躍し続けられるかどうかも、イノベーションに懸かっている。
クリステンセンのいうところの破壊的イノベーションだ。

一発当てた芸人はその当たった芸風の需要が一気に爆発するので、別の芸風を開発しようというインセンティブが働かない。
なのでそのネタが飽きられて需要が無くなると次の経営資源がなくなり、すぐに新たな芸人に取って代わられてしまうわけだ。
そうならないように、新しい芸風の開発とか、平場の実力を磨いてより大衆にウケるようにするとか、カリスマネタ以外の生きる道も模索してほしい。

なかなか難しいのは承知だが、彼らにはイノベーションを起こし続けて売れ続けてほしいと願っている。



ここからは取り留めもオチもない余談。

※芸人にそこまで詳しくないのに芸人について語ります。悪しからず。


最近はテレビをあんまり見ないので分からないのだが、令和に入ったあたりからリズム芸とかキャラ芸で一発当てる芸人は出てきていないように思う。
2000年代は毎年のようにリズム芸・キャラ芸の一発屋が生まれていたのに、である。

その要因はなんだろう。
・単純に一発当てるだけの力を持った芸人がいない
・世間の求めるお笑いが変わった
・登竜門的なテレビ番組が無くなった
・若者のテレビ離れでそもそもテレビが見られていない
など、考えられる理由はいろいろある。
1個目は分からないが、2個目以降は当たっていると思う。
その根本は、TikTokやYouTubeなど動画SNSの台頭だ。

そもそも可処分時間の多くをテレビではなくSNSに割かれるようになっているし、"リズムに乗って何か面白いことをする"のはTikTokerの領域になってしまった。
TikTokのいいところは、素人であるがゆえに誰でもマネできることだ。
そうしてみんなが真似をするから一気に拡散されるし、深く浸透する。
結構キャラの濃いTikTokerやYoutuberも出てきているので、今の若者はそっちでもうお腹いっぱいなのだろう。

そんな事情もあり、最近人気のある芸人は漫才が面白かったり平場が強かったりと、正統派が多い印象だ。


では、リンダカラー∞もそんな潮流に巻き込まれ、咲くことなく沈んでいってしまうのだろうか。

正直どうなるかは分からないが、うまくいくポテンシャルはあると思う。

まず彼らの芸風はショート動画と相性がいいので拡散されやすい。
それに、リズム芸・キャラ芸の一発屋が出なくなってもう5,6年経つ。
そろそろ世間も求めているんじゃなかろうか。

ファッションのトレンドは20年周期と言われたりもするが、芸人のトレンドにもある程度周期があるのだろうか。
もし周期があれば、その周期次第では勝機がある。

だが、一発屋芸人一覧のサイトを見た限り、僕の見識では周期は分からなかった。
もっと長い目で見ると見えてくるものもあるだろうが、2000年以前の芸人の芸風は僕には分からないし誰が流行っていたかも分からないのであきらめた。

周期というか、当時どんな媒体で流行ったかが重要な気もする。
テレビはテレビなのだが、当時はエンタの神様とか爆笑レッドカーペットとか、芸人がしっかり持ちネタを見せる機会が多かった。
複数の芸人のネタを同時に見るとなると、どうしてもリズムネタやクセの強いキャラが記憶に残りやすく、人気になる。
それが一発屋の生まれた背景ではなかろうか。

今はというと、芸人が持ちネタを披露する機会はショーレース以外ではほとんどなくなった。
おまけに有吉の番組とか千鳥の番組では普段は漫才とかコントをしている芸人たちがクセの強いキャラを作って登場してくる。
マーケティングっぽく言うと、市場が小さくなっているのに競合が増えている状態だ。
そりゃ難しいよね。

だからこそ、最近は霜降り明星とかやす子みたいに平場でも強い芸人だけが生き残っているのだろう。

じゃあ、平場が未知数のキャラ芸人はどうすれば売れるのか?

①圧倒的に面白いキャラに磨き上げる
②市場を切り替える
③市場を付加する

①は難しそうだ。最初の方向性がずれてればいくら磨いても上手くいかないので、一か八かになってしまう。
②はキャラ芸をあきらめるということではなく、テレビという市場から脱却するということだ。リンダカラー∞的にはショート動画の方が相性がいいし、平場の弱い芸人でもYouTubeであれば自由に編集できるので面白くしやすい。
YouTube内で他のクリエイターとどう差別化するかは余白が足らないので記載しない。
③ができれば一番いい。SNSで話題としてテレビで取り上げられることもあるし、逆もまた然り。
キャラ芸だけじゃなくて漫才もやるというのも③に含まれる。いろんな芸風を開発するのもいいだろう。今拡大中の市場を取り込むのだ。

とにかく、リンダカラー∞頑張れ!という話でした。

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