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「ボランティアで日本語教師」その1

「ボランティアで日本語教師」のシリーズのその1。

今回のテーマはシンプルに
「日本語教師の資格をとった切っ掛け」について。

※文末に購読して良かった日本語文法の本を紹介をしています。


■母国語に対するジレンマ

私は日本語教師の勉強を開始する半年前、会話を中心にボランティアで週に一回、オンラインで教える機会があった。
(この頃は日本語教育についての知識はゼロ)

数回のレッスン後に
「私はまぎれもなく日本人であるが、日本語がわからない」というジレンマが・・・。

読み書きができ、会話もできる。何ら日常生活に困ることのない私だが、
「学校へ行きました」と
「学校の行きました」
は何が違うのかと質問され
「へ」は正しいと言えるが、「の」を使うと誤りである。
単に「おかしいから。」では説明にならない。
ちゃんと日本語を学ぶ外国人に対する説明をしなければならない。

「それはおかしい」と頭で理解できたとしても、言葉にするには知識が必要だ。

そこで私はすぐに日本語「助詞」に関する本を買い求め、勉強した。
助詞や文法表現は、ある程度本を参考にすればわかると言えば、わかる。
(実際には、奥が深い。)

しかしながら、それもすぐにジレンマに苛まれる。

助詞の説明ができるだけではいけない。
学習者からの質問は、助詞に関するものだけではなく、
「友達にはどう言えばいいの?」
「同僚にはどう言えばいいの?」
「"~でした" と "~です" の違いは何? 」
など、あらゆる事を聞かれるからだ。

「理解はできるけど、どう説明すればいいのか」
他にも勉強しなくてはならないのでは? と思い始める。

■初めての日本語指導 (資格がない時代の私)

私が初めてボランティアで日本語を指導した時の方法はこうだった。

・授業の形式をとらない
・教科書を使わない
・生徒側が練習したい内容について教える
・会話を中心に

今考えれば、無謀すぎた。

本来、授業の形式であれば教材通りに進むよう事前準備ができる。
それに加え、質問されるだろう予想を立て、回答の準備ができる。

しかし、当時の私はとても単純に考えていた。

■初めての生徒Mさん

そのような事になったのには訳があった。
ある日突然、私が外国語を習った恩師から電話がかかってきた。
「日本語の勉強をしたい私の友達がいるので、友達になってあげて。
今からLINEを送るから、よろしく。」
と言われたのだ。

恩師からのお願いを断る事はできない。

そして私の生徒となったMさんは、他に日本語の勉強をオンラインで受けているが、会話が弱いと自覚しているので
・日本人と実際に会話して度胸をつけたい
・ネイティブの自然な日常会話の言い回しが知りたい
・オンラインで受けてている授業の補足をしてほしい
 (主に宿題の正誤について)
というオーダーで、何よりも日本語を上達したいという熱意があった。

ならば、と簡単な気持ちで引き受けたのが始まりである。
初めての生徒となったMさん。
ここから私の資格取得への扉が開かれたのである。

■実は私も日本語が理解できていなかった

兼ねてより興味があったものの、自信が持てずに躊躇していた日本語教師の資格取得。
初の生徒となったMさんとの出会いが私の背中を押し、通信制の大学で学ぶ事となった。

学んでみて改めて感じたことは
「日本人なのに、日本語がわかっていなかった。」という事だ。

どういう事かというと、
普段、これは動詞で、これは名詞で、副詞と形容詞と自動詞と・・・などと考えて話しているわけではないし、
「どうしてそうなるのか、なぜその言葉を使うのか」をつきつめて考えているわけではないから、説明できなくても当然と言えば当然である。
ただ、私は日本語を不自由なく使えているだけなのだ。

そして驚いたことに日本の学校教育で私たちが受けてきた国語は、外国人に教えるには少しズレがあった。

例えば 「形容詞」の場合
・日本語教育では、イ形容詞とナ形容詞に分ける。
・学校教育では、形容詞と形容動詞に分ける。
など、分類の用語も違う。
五段活用なんて使わない。

そもそも、日本語を外国人がどのように勉強していくのか、なんて学校に入るまで考えも及ばなかった。

だから、知れば知るほど面白かった。

■日本語教師の資格を取る人の切っ掛け。

大学に入り、日本語教師の免許を取ろうと思った切っ掛けを聞くと人それぞれだった。
・現在、日本語を教えているが学びなおしたい人。
・日本語教師として働いているが資格がないので、取得したい人。
・卒業したら、日本語教師をしたい人。
・日本語を教えはじめたけれど、日本語がわかっていなかったと気づいた人。

私の入学した大学では、下は高校卒業後すぐに進学してきた人、主婦、働きながら学ぶ人、年齢も70代を超えた方までと、幅広かった。
そして何よりも、皆さんキラキラした人達ばかりだった。

■その後の私

私は通信制大学で日本語教師の免許を取った。
かかった期間は一年半。
必要な単位を取得するために、授業を受けてレポートを提出し、試験を受ける。もちろん、教育実習もあった。

大学へ入学する切っ掛けとなったMさんには会話中心に現在も教えている。


■私が購読して良かった本の紹介

外国人学習者に日本語を説明するため、はじめに買った本を紹介します。
定番中の定番ではありますが、「初級日本語文法と教え方のポイント」がとても良いのでお勧めです。

  • 学習者はどこが難しいのか。よく出る質問。

  • 学習者の誤用の例。

  • 指導方法の例。

このように項目ごとに説明があるので、とても読みやすく理解しやすくなっています。
以下、画像リンクを貼っておきます。
紹介した本を販売しているAmazonのサイトが開きます。


続編で「中級」バージョンもあります。
私も購読しましたが、今のところ私には初級編だけで十分でした。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
よければ,その後の記事もどうぞ。

→シリーズその2は、「ボランティアで教えた経験」について


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