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【詩作】名前たちの歌

紙とペンがないので
歌にして 彼らは記憶した
一つひとつの名前に
刻まれる 生きた証を

在りし日の想い出を
忘れ去ることのないように
かの地で 奪われた尊厳を
取り戻すために

看守の目を欺き
人知れず 唇を震わせ
嗚咽にかすれた声で
亡き人の名を呼ぶとき

その旋律は
祖(おや)から授かりし
幾世紀もの歴史を流れて
永遠(とわ)へと響く

― dedicated to the film "The Song of Names" ―


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