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なぜ、ピザ×エシカルなのか?|「Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん」 平雅一さん&森枝幹さんインタビュー

こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」公式note担当の東樹です。

エシカル先進国でもあるイギリスでは、「時々エシカルなものを買う」という人々がエシカル市場を育ててきました。

イギリスと同様に、日本でも「時々エシカル」な人を増やしていくために、まず大切にすべきキーワードは「おいしい」「楽しい」であるはず。ラボでは、そうした考えを元に、2022年にいくつかの取り組みを行いました。

その一つが、食べて学べるエシカルフードイベント『Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん』です。

2022年9月15日、神楽坂の「CRAZY PIZZA SQUARE」で開催した本イベントには、8種類の特別なピザが登場しました。

たとえば、

「海の未来をつくるピザ」

「動物の幸せで健康的な生活を支えるピザ」

など。
それぞれのピザには、エシカルな食材がふんだんに使われているんです。

来場者の方々には、食材や、その食材の生産者さんがどのようにエシカルなのか、説明を記載したカードもお渡ししました。

カードの例

今回は、本イベントの立役者である、「Don Bravo」「CRAZY PIZZA」の平雅一シェフと、食プロデューサー兼シェフであり、「エシカルフード基準」の策定にも参加している森枝幹さんにお話を伺いました。

平 雅一さん
広尾「アッカ」に勤務後、渡伊しフィレンツェ「ラ・テンダ・ロッサ」(ミシュラン 二ツ星)、ミラノ「サドレル」(ミシュラン 二ツ星)、ラグーサ「ドゥオーモ」(ミシュラン 二ツ星) 等で3年間修業。 帰国後、広尾「リストランティーノ バルカ」現「アーリア ディ タクボ」に勤務し、三宿「ボッコンディビーノ」でシェフを務める。 2012年6月「ドンブラボー」をオープン。 Destination Restaurants 2022に選出。

森枝 幹さん
調理師専門学校を卒業後、世界のベストレストランの常連の「Tetsuya’s」(オーストラリア)等で修行を積み、2011年「Salmon&Trout」のシェフに。2019年11月より渋谷パルコにタイ料理店「CHOMPOO」をオープン。フードマガジンの発行や、レモンサワー専門店のプロデュースなど、従来の料理人に枠にとらわれず活動する。

・・・

ー 平さんと森枝さんは、それぞれどのように今回のイベント『Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん』に関わられたのでしょうか?

(平さん)
僕は、本当に生徒みたいな感じでしたよ(笑)

まずは、幹くんや、Chefs for the Blue 代表理事の佐々木ひろこさんにエシカルフードについて色々教えてもらいました。その上で、どのようにピザに落とし込めば食材の背景やメッセージが伝わるだろうか、ということを考えながらメニューを検討しました。

(森枝さん)
先生とか、そんなものではないんですけど(笑)

僕がやったのは、全体の企画です。まず、ピザを使って何かイベントをやろうという話から始まったんです。

エシカルって、一見小難しかったり、面倒くさそうだったり、よくわからないものじゃないですか。そこに、ピザが持っているわかりやすさ、奥深さ、ビジュアルのよさといったものを掛け合わせることで、エシカルが慣れ親しみやすいもの、キャッチーなものになるんじゃないかと思ったんです。

じゃあ、ピザを使ってどういう企画を作っていこうということを考えた結果、『Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん』ができました。

森枝幹さん

ー 今回、8種類のピザを作ることで、様々なエシカルイシューを取り上げていますが、食材はどのように選ばれたのでしょうか?

(森枝さん)
ここは難しかった部分ですね。というのも、エシカルな食材の生産者があまりにも少ないんです。選ぶ余地があまりなかったというのが正直なところです。

その中でも、エシカルイシューを網羅すること、バランスを取ることは考えて、今回の食材にしています。

ー イベントでエシカルな食材を扱ってみて、いかがでしたか?

(平さん)
CRAZY PIZZA 神楽坂店のシェフと一緒に試食を繰り返したんですけど、そもそも今回選ばれた食材は、どれも愛情を込めて作られていて、元々の味がとてもおいしかったんです。なので、そういった食材を使ってピザを作ることは、意外と難しくなかったです。

平雅一さん

ー ピザを作る上では、どんな点を工夫されましたか?

(平さん)
何よりも、おいしくすることですね。まずは、エシカルも関係なく、おいしいピザを作りたいなと。その方が、食べてくださった方の心も開きますし、エシカルに対する印象も変わると思うんです。

(森枝さん)
僕は、違和感を作らないことが大事だと思っています。

CRAZY PIZZAというかっこいいお店で出すには、ポップすぎる雰囲気のメニューになってしまったかもしれませんが、それは、一般的に想像される「普通のピザ」を作った上で、そこにエシカルという非日常を紛れ込ませていきたいと思ったからなんです。

エシカルを違和感なく生活様式に取り込んでもらうことが大事なんじゃないかな、と思っています。

ー ピザを通して、どのようなメッセージを届けるために今回のイベントに臨みましたか?

(森枝さん)
このイベントが、エシカルフードを知ることのきっかけになってほしいと思っていました。そもそも、エシカルフードというものがあるんだな、と認識してもらえていないので。まだまだ、きっかけを作らないといけないフェーズですね。まずは知ってもらって、その先は各々勉強していけばいいと思うんです。

エシカルな食材を使ったピザで、エシカルフードの間口を広げられたらと思うので、ぜひ普段のメニューにもエシカルなピザがあったらいいなと思いますけどね。なんて、無茶ぶりを言ってみたり(笑)

(平さん)
(笑)

僕は、イベントに関わるまでは、エシカルについてほとんど知識を持っていなかったんです。どこかで聞いたことがあるかな、というぐらいで。でも、一度知りさえすれば他の人にも話したくなりますし、連鎖していく可能性が高いと思います。

ー 『Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん』を終えて、次にやってみたいことは何かでてきましたか?

(平さん)
屋外など、色々な場所でやってみたいですね。おいしい、はもちろんのこと、雰囲気が楽しい場所でも開催できたらいいかもしれません。

お子さんと一緒になって、生地をのばしたり、焼いたり。ピザって、そういうことがみんなでできるので、記憶に残りやすくもなるはずです。

(森枝さん)
僕はやっぱり、違和感なくエシカルフードを取り入れるということをやっていきたいです。

今、自分の店では、1年半かけて育った鶏を使っています。飼育期間が3ヶ月ぐらいのブロイラーとくらべて、弾力もあって旨味も強い鶏肉をガパオ炒めに使っているんです。現地でも硬い鶏肉を使っているので、全然違和感もなくて。

エシカルな食材を使っていることすら食べる人は気づかない料理、それでいて、そのような食材を使っているからこそおいしいという料理を、しれっと作っていきたいな、と。そして、そういうメニューばかりにしていけるといいですね。

そういったことをできるだけ発信して、他のお店にもエシカルな食材を使ってもらえるようにできたらと思っています。

(平さん)
あと、思うのは、僕らのようなレストランだけでエシカルフードに触れるきっかけを作ろうと頑張るのではなく、他の業界ともコラボできたら、ということです。

たとえば、若い人たちが好きな音楽関係の人、ファッション関係の人と一緒にピザのイベントを開催するとか。食と、食以外のジャンルをかけあわせることで、門戸が広がるんじゃないかなと思います。

・・・

エシカルな食材をふんだんに使ったピザ。次は、どこに登場するでしょうか。その日をぜひお楽しみに!

■ Hello, Ethical 未来が変わるピザ屋さん

■ Tカードみんなのエシカルフードラボ

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