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自分の名前とおなじ土地を訪ねてみる【中国・青海】

私は自分と同じ名前の人に出会ったことがない。

「青海」

新潟には同じ漢字、同じ読み方の地名にもあるし、いわゆるきらきらネームほど奇をてらったものではないが、人の名前としては出会ったことがないのだ。観光地に行っても名前入りのキーホルダーは一度として買えたことがなく、休みの度に日本のどこかへドライブに連れられていた小学生の時代はかなり寂しい思いをしたのをよく憶えている。

「自分と同じ名前の人なんてきっといないんだろうな」

幼くしてそう悟っていたが、ある日見た『世界まる見え!テレビ特捜部』でついに見つけた。読み方こそ違うが同じ漢字だ。彼女は中国の田舎に住んでいるという。

「中国ってどこにあるんだろう」そう思って開いた地図帳で見つけた、自分の名前と同じ地名。中国の彼女がそこに住んでいるかどうかはもう定かではないが、あのときの全身に緊張が走る感覚は忘れられない。

「…いつか、必ず行く!」


今回はそんな願いが実現した日のお話。

2016/5/24投稿

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今回は西寧の2日目に青海湖(チンハイフー)に行った話。 

北京での万里の長城ツアーで、宿が手配するツアーの味をしめていた私は、昨日、西寧の宿に着くなりツアーを予約しました。
ブッキングできるツアーは2つ。青海湖に行って戻ってくるだけの半日ツアーと、湖に加えてチベットエリア村的なところに行ける1日ツアー。
このとき、それぞれの値段を聞くのを忘れてしまったけれども、せっかくなのでと思い1日ツアーにすることに。

が、今回のツアーは宿が企画しているものではありません。
なので、ドライバーはもちろん英語が通じません。中国語オンリーです。

5月19日朝9時。昨夜から降り始めた雨はあがっていて、天気は快晴。
宿のオーナーに教えてもらった車のナンバー紙を手に、宿の外へ出ます。
無事にミニバスが見つかりました。まずは1つミッションクリアー。
ドキドキしながら車に乗り込みます。既に1人参加の女性2人と老夫婦が乗車していましたが、みんな中国人でした。
私をピックアップした後も仲良しおじさん3人組や若いのカップルが乗ってきましたが、やはり全員中国人。
言葉がわからないので不安が募ります。

西寧から走ること3時間くらい。街中に現れた門の前で車が停車しました。門の先に石垣や石畳のエリアが広がり、お店もずらり。どうやら観光スポットのようです。

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ドライバーが私たちに向かって何か話しています。そして話が終わると同時にみんな外へ。
わかりました、ここを観光しろということですね。…しかし、何を言っているかわからないので、何分後に何処に戻ればいいのかさっぱり。
ドライバーもあんまりフレンドリーな感じではなく、筆談での質問をしずらい感じ…。

「ここを1人で行くのはまずい!」

そう感じた私は、意を決して1人参加の女性に話しかけてみることに…!
彼女は私が日本人だというと、すごく驚いた顔をしたあとニコっとしてくれました。
その時の表情は、「え!マジ?ww」みたいな感じ。

私を快く受け入れてくれたJちゃんは少しだけ英語が通じました。お互い英語のレベルがまずまずなので、筆談やスマホの翻訳アプリを使いつつ会話します。
もはや、この微妙な観光地よりも、Jちゃんとの会話の方を楽しんでしました。

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そんなこんなで2人でダラダラと観光エリアを歩き終わったのですが、私たちのバスが見つかりません…。
結局、Jちゃんがドライバーに電話して無事ピックアップしてもらえたのですが、これ、やっぱり1人だったら完全にアウトでした。

次の場所へ行くまでも車内でずっとJちゃんと話してました。
私より4つ下で、湖南(フーナン)省出身。旅行で青海省に来たそうです。湖南には美味しいものがいっぱいあって、特に臭豆腐が好きだそうです。こんなことなら台湾に行ったときにやっぱり食べておくべきだった。…いや、でもあの匂いは無理だ。ちなみに臭豆腐は湖南がオリジナルなんですって。知らなかった。

湖南の写真も見せてもらいました。京都や柳川のようなイメージでっとても雰囲気が良さそうな場所でした。
湖南までは、成都から高速鉄道(新幹線的なやつ)で3時間だそうです。Jちゃんにもまた会いたいし、いつか行ってみたい!

と、いうような感じで色々と話していたら、バスはいつのまにか高原のなかを走っているではありませんか!
バスの窓は、まさかのすりガラスで、なかなか写真が撮れないなぁと思っていたら、次の目的地に到着。
緑の芝生の上に建てられたテント。その横ではカラフルなタルチョ(プレイヤーフラッグ)が風にはためいています。チベットの伝統的な風景です。

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テントのなかに入って、みんなでヨーグルトを食べました。
まずはそのまま一口…うん、美味しい!でもちょっとだけ臭い!
お好みで砂糖を振りかけるスタイルでしたが、みんな驚くほど大量に砂糖をかけて食べていました。一口食べて感じたことはみんな一緒ということですね、きっと。

15分ほど休憩して、再び車へ乗り込みます。
次に車が止まったのは、もはやこういうツアーに組み込まなければ誰も行かないんじゃないか?というくらいの、ちゃっちービレッジです。入場料40元(約673円)。
チベットの伝統的な衣装をレンタルすることができたり、馬に乗ったり、チベットのお土産を買うことができる場所でした。

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ところで、ここへ着く前の車内で、ドライバーがJちゃんに「青海湖に着くまで外国人だと話すなと私に言え」と言ったそうです。
「外国人は行ってはいけない場所なの?」と聞くと、「大丈夫。ここは郊外だから安心して」とのこと。
…はて、なぜなのか?チベット自治区じゃないこのエリアは、外国人でも許可なく行ける場所なのに。
とはいえ、「私の知識が間違っていて、本当はダメだったらどうしよう」と、ビビりまくってしまい正直あまり楽しめませんでした。
(宿に戻ってオーナーの人に聞いたら、やっぱり全く問題なくて、ドライバーが勘違いしていたんじゃないかとのこと。)

Jちゃんも衣装を着ることに特に興味がなく、「なんか微妙だねー」と話しながら30分ほど時間をつぶしました。
ちなみにここで初めて、ドアなし、仕切り低しのボットントイレを体験しました。Jちゃんにとっても初めての体験だったそうです。
ネット情報でこのスタイルのトイレについて知っていましたが、もう中国でも少なくなってきているんでしょうか、こういうトイレは。

途中、立ち寄ったレストランでお昼ごはんを食べてましたが、あんまりお腹が空いていなく半分ほど残してしまいました。

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観光地価格で街で食べるより1.5倍くらい高かったのに…もったいない。24元(約403円)
お味はまあまあ。面は湯がいて具と一緒に少し炒めてるっぽいのですが、面はスープに入っているものの方が美味しいのかもしれないです。あ、でも!緑の野菜、ネギは日本で食べても中国で食べてもやっぱり美味しい!

そして、バスはやっと青海湖へ到着!!(入場料40元=約673円)

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青海湖は、青海省の東部にある超巨大な塩水湖。標高3200mの高原に位置し、面積はなんと4583平方kmもあるそうです。
1日ツアーの最後って、どんだけ引っ張るんだよ!っていう感じでしたけど、ずーっと遠くまで広がる湖を見てたらそんなことどうでもよくなります。本当に海みたい。

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「青海湖」は、中学生の時に地図帳で名前を見つけてからずっと行ってみたかった場所。自分と同じ名前の場所はどんなところなんだろう?って。
空と湖の青、雲の白、5色のタルチョが風に揺れる音、緑のにおい…全てが非日常的で、私にはどこか哀愁漂う感じに思えました。 

祈りを乗せた風は、世界のどこまで運ばれていくのだろう…?

帰りの車内はみんな爆睡。最後にツアー代150元をドライバーに払って、1日ツアーが終了。
この旅の目的の1つが叶った1日でした。

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