見出し画像

『フルカラーでやさしくわかる!テーピングの基本』note連載/第4回:シンスプリント

第4回/シンスプリント

執筆
宮本瑠美(亀田スポーツ医科学センター 副主任)
大内 洋(亀田メディカルセンタースポーツ医学科 主任部長)


はじめに

シンスプリント( 近年では「medial tibial stress syndrome」と, 脛骨内側部に負荷が加わり疼痛を生じる広い概念で呼ばれることも多い)は,脛骨周囲の筋,腱,骨組織に炎症が生じることを言う。脛骨内縁の筋付着部に疼痛が生じることが多い(図1)

スクリーンショット 2022-02-21 133121

症状
シンスプリントの症状は以下の通りである。
・脛骨内縁に沿った疼痛(自発痛,圧痛)
・同部に軽度の腫脹
・脛骨近位もしくは遠位を叩打した際の介達痛
・疼痛はランニングやジャンプなどで増悪することが多い
発生原因(図2)
・反復運動により脛骨部の筋腱,骨膜に過剰な負荷が加わる
・急に運動量,運動頻度,運動時間を増やす
・扁平足もしくは足部の柔軟性の低下
・履き古して支持性が低下した靴,アーチサポートのないインソール
・陸上選手やダンサーのように,走ったりつま先立ちをする機会が多い

スクリーンショット 2022-02-21 133324


テーピングの目的

脛骨に付着する後脛骨筋,ヒラメ筋,長趾屈筋による牽引ストレスの軽減が主な目的となる。そのため,足部のアーチサポートによる足部回内制動や脛骨内縁の圧痛部分を脛骨から引き離すようにして,覆うようにして巻く。また,キネシオロジーテープを用いて,後脛骨筋,ヒラメ筋の筋サポートを行う。

効用
①荷重時・踏み込み時の足部回内による後脛骨筋等の牽引ストレスの軽減
②圧痛部位を押しつけるように巻くことで牽引ストレスの軽減
③圧迫部位の圧迫による疼痛軽減
④後脛骨筋,ヒラメ筋の筋サポートによる機能補助
ターゲット
・中足骨
・内側楔状骨
・舟状骨(内側アーチを持ち上げ,回外誘導する)
・脛骨内縁(圧痛部位の圧迫)
・後脛骨筋
・ヒラメ筋

扁平足・内側縦アーチ(外側縦アーチ)・横アーチが低下し, 脛骨に付着する筋の牽引ストレスが増大しており,脛骨内側に圧痛がある場合のサポート



スタート姿勢:足関節より遠位がベッドから出るように長坐位となり,足関節をほぼ直角に保つ

スクリーンショット 2022-02-22 153644

使用するテープ
・ハード伸縮テープ 50mm幅
・非伸縮テープ 38mm幅
Step 1:外側ヒールロック~内側アーチ挙上

スクリーンショット 2022-02-21 133700

Step 2:アンカー

スクリーンショット 2022-02-21 133734

スクリーンショット 2022-02-21 133746

Step3:Xサポート

スクリーンショット 2022-02-21 133858

Step 4:ラッピング

スクリーンショット 2022-02-21 133951


コツと注意点
・圧痛点でテープが交差するように,テープを交互に斜めに貼付する。
・疼痛位置に応じてXサポートを施す距離を調整する。
・Xサポートは,脛骨に筋を押しつけるように圧迫を加えながら巻く場合と,脛骨から筋を引き離すように巻く場合がある。患者の状態に応じて使い分けるとよい。
・下腿を締めつけすぎないように注意する。


後脛骨筋,ヒラメ筋のサポート

スタート姿勢:足関節より遠位がベッドから出るように長坐位となり,足関節をほぼ直角に保つ

スクリーンショット 2022-02-21 134136

使用するテープ
・キネシオロジーテープ 50mm幅
—足底から膝窩までの距離の長さ(約45cm)にカットしたもの 1本
—踵部から膝窩までの長さ(約40cm)にカットしたもの 1本 Y字(5~8cmの部分を残して切れ込みを入れる)
Step 1:後脛骨筋のサポート

スクリーンショット 2022-02-21 134343

Step 2:ヒラメ筋サポート

スクリーンショット 2022-02-21 134554

スクリーンショット 2022-02-21 134643


コツと注意点

• テーピング実施前に脛骨内縁部の圧痛を確認し,テーピングの交点となる部分を確認する。
• 後脛骨筋・ヒラメ筋などの伸長痛・収縮時痛を確認し,状態に応じて後脛骨筋のみ,ヒラメ筋のみ,両方併用など巻き方を調整する。
• 巻き終えたら,荷重をかけた状態で違和感や締めつけられすぎている感覚がないかを確認する。
• 片脚スクワットやジョギング時の疼痛や内側アーチの低下が軽減されているかを確認する。
• 陸上競技選手などでは,足底の感覚に敏感なため,選手の感覚や要望を注意深く聞きながら進める必要がある(例:足関節にテープをかけたくない,下腿や足部のきつさを感じるなど)。


最終回はこちら



かばあ_page-0001


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?