雪が降った。
雪が降った。
白い雪がちらつく夜の姿は、いつもとまるで違った。
黒い道路が白く染まって、光を反射して夜がいつもより明るかった。
まだ雪が降っている。
息は白く、靴はざくざくと気持ちよく音を刻んでいく。
ーーこれは明日、きっと積もるだろう。
慌てて家に戻って、カメラの充電をした。
翌朝、見事なくらいに雪が積もっていた。
「雪の写真を撮りたい」
私はずっとそう思っていて、ようやくその願いが叶う日がきた。
仕事は休みだ。
私は意気揚々とカメラを持って外に出た。
寒さとか、たぶん、カメラにとってはあまりよくないのは感じていたけど、好奇心には勝てなかった。
シャッターを切るたびに、白く染まった世界を留めていく。
明日にはきっと、失ってしまう世界の美しさがカメラに収まっていくのを見ると、嬉しさが胸にこみ上げた。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。
世界が綺麗だと、いつもうれしくなる。
そして、その美しい世界を、少しでもフレームに収められると、もっと嬉しくなる。
見たものを、見たまま残すのはとても難しい。
私たちは脳というフィルターを通して景色を見ているから、カメラでそのままを切り取るのは本当に難しい。
でも、一眼レフだけは、それに限りなく近づける気がしている。
私は相棒の一眼レフカメラと一緒に、犬みたいに庭を駆け回った。
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