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チャイナタウンの雲呑麺

たまに行く中華屋の隣のお店は、店頭に雲呑麺の写真がでかでかとあって毎回混雑していた。気になりながらも行ったことはなかったが、ここ数日寒さが増してきたせいもあって、あたたかいスープが飲みたいと思ったときにこの店を思い出した。

お昼時のチャイナタウンは混雑しつつも活気があって楽しい。店内はアジア人が多い様子で心なしか安心する。オレンジ色のシャツに描かれた雲呑麺、定員さんが着ている制服のシャツが妙にかわいい。さっさと食べて長居せず席を立つ人のおかげであっという間に座れた。またしても、メニューの表紙にもでかでかと雲呑麺がいる。なんだろう急に愛おしく思える。

雲呑麺のスープひと口目は、冷えた身体に染みるやさしい味。麺と雲呑、ねぎがかかっているだけのシンプルさ。これだけでいいの、これが欲しかった。アメリカで食べる麺類、特にラーメンの話だが、とにかくトッピングが多い。トッピングを食べているだけでお腹が膨れるし、麺に到達しなかったり、何でもかんでも入れるので調和がなかったりする。そういうことでこの雲呑麺は、アメリカのラーメンに疲弊した私の救世主になった。ありがたい。

豚肉とぷりっぷりの海老が入った雲呑がおいしい。ああ幸せ。定員さんが、テーブルの端にあるラー油をおすすめしてくれたので、添えてあるティースプーンいっぱいにすくって、残ったスープに入れる。想像以上に辛くてむせた。ええ、ただのラー油だと思ったら大間違い、とんでもなく辛い。味変と思いきや激変。ところが山椒がふんだんのに使われていて後味がすっきり、辛さだけじゃない、辛おいしい。とにかく雲呑麺に合う。いい意味での衝撃。

そうそう、このお店と同じ名前の店が1ブロック先にあり、そこには座席はなく、販売カウンターのみ。どうやら包子も人気らしい。甘い叉焼が入った包子。今度試してみなくては。

中華料理が大好きなので基本的に全てにおいて肯定的だが、どうしても中華料理屋さん独特の、あの長くて太さが均一の箸が苦手。持ちにくいのと食べている途中で手が疲れてくる。日本にいるときよりも箸を持つ機会が減ったせいなのか、雲呑麺を食べている途中で手が疲れてため息が出た。次回は箸持参しよ。


Mei Lai Wah | Wonton Noodle Garden
23 Pell St, New York, NY 10038

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