消えたiPadを探す旅1 ウィーン,オーストリア
イタリアのヴェネチアから、オーストリアのウィーンに向かう。
イタリアで最も有名な観光地であるヴェネチア。
そのヴェネチアにあるサンタルチア駅から、夜行列車に乗ってオーストリアのウィーン駅に向かう計画。
電車が出発するのは21時05分だったが、その日は1日中リュックを担いでヴェネチアの街を歩いていたのでかなり疲れていた。
17時ごろには駅にいて、この広場の景色を見ながら時間を潰す。
サンタルチア駅はヴェネチア唯一の駅ということもあり、かなり大きく路線も多い。列車に乗る際には乗り場を間違えないようにしよう。
電車に乗る。私が乗った二等車は値段が安い分、ベットがない。6席で一つの個室になっていて、居心地はあんまりよくない。
個室の扉を開けるとそこにはすでに先客がいた。気まずい。
しかし、他の部屋を見てみると誰も座っていない。先客には「別の部屋は誰もいないからそっちに座るよ。人が来たらこの部屋に戻るかも。」と事情を話して、部屋を移る。
21時を過ぎても真っ暗にはならないヴェネチアの空を横目にiPadを開く。
適当に動画を見ていると次の駅に着いた。しかし、その駅にはたくさんの乗客が。案の定お客さんが乗ってきて、自分は本来の部屋に戻る羽目になった。
最初は4人だった部屋も後の駅から2人が追加され、定員一杯の6人で一夜を明かすことになった。
その車内であった話はこちらに。
朝、ウィーンに到着。
朝8時ごろには着いたがチェックインは15時とかなり時間がある。とりあえずその時間まではウィーンの街を散歩することにした。
連日、適当な食事ばかりしていたため珍しく脳が野菜を欲していた。適当にパックのサラダを買ったがドレッシングはないため、塩気のありそうなハムを買って混ぜて食べた。
ハムの塩気で食べる野菜もあり。
それからはウィーンの街を適当に歩いた。
フランスやイタリアとはまた違って、建物の美しさ+清潔さがあるように感じる。
夕方、ホステルでチェックインを済ませ部屋に入る。部屋にはカナダ人が2人とあともう1人誰かがいた。
2段ベットの下で荷物を整理していたとき、そこでiPadが失くなっていることに気づく。絶望した。
海外で物を失くしたらもう見つからない、という認識だった。どこで失くしたのか思い出せない、もしかしたら誰かに盗まれたかもしれない。
そんなことを考えながら、最後にiPadを触ったときの記憶を辿る。すると電車内で一度開いたのを思い出した。
でも、その後iPadを置き忘れたのか確信が持てない。紛失なのか盗難なのか分からない。
とりあえず乗っていたオーストリアの国鉄であるQBBに紛失届を出す。
それ以外に何かiPadを見つけ出す良い方法はないか考えていると、iPhoneからiPadの位置情報を取得できることを思い出した。
それでiPadの現在地を調べてみると、意味わからんところにあった。
電車はこのマップの南側から登ってきたのだが、私のiPadはウィーンの西側の郊外中の郊外にある。
地図を拡大してみるとそこには線路は見当たらず、QBBの関連施設があるとも考えにくい。
そこの住所を調べて、航空写真で見てみると明らかに民家であることがわかった。
これで誰かが持っていることは間違いない。
仮に紛失だとしたら、QBB関連の施設か駅、あるいは線路上にiPadが表示されるはずだ。だから、これは盗難の可能性があると私は考えた。
ここでこのiPadを諦める選択肢もあった。知らない国で知らない誰かを突き止めてiPadを返してもらおうとするのは危険も伴う。
場所もウィーンですらない。
でも、簡単に諦められるものでもない。バイト代を貯めて買ったものだし、愛着もある。
しかも、iPadをどうしたら取り戻せるか作戦を立てることが楽しくも感じてしまっていた。
翌朝、iPadの位置情報を確認すると昨日から動きがないことがわかる。
まだiPadには充電が残っているから、もしかしたら警察に行けば持ち主を特定できるかもと考えた。
だから、iPadを探し出すことに決めた。
まずオーストリアの日本大使館に行って相談することにした。建物の前には警備員のような人がいて、尋ねると予約はしているかと聞かれた。
こういう場所は事前の予約がいるみたいだ。
事情を説明してiPadを失くして相談したいことを伝えると、中に入れてくれた。
中に入るとまず荷物検査をしなくては行けない。荷物検査マシンでスキャンされた後、職員さんと話すことができた。
よくドラマに出てくる留置所でみるような容疑者と訪問者が話せる部屋みたいな場所で相談した。
相手は日本人女性の方で、久しぶりに聞く日本語がとても心地よかった。話を聞いてみると私には選択肢が2つあるとわかった。
一つは、市役所に行って紛失届を出すこと。もう一つは、警察に行って盗難届を出すことだ。
紛失の場合は、警察は相手をしてくれない。
私は紛失なのか盗難なのか確信がなかったが、仮にiPadが返って来なかったときのことを考えても、保険が効く盗難の方が都合が良いと思い、とりあえず盗難だと仮定して警察に行くことにした。
大使館の職員から、警察と話すときに使えそうなドイツ語の単語まとめのプリントもらって、交番に向かう。
その日は風が強く、持っていた紙は一度吹き飛んでしまった。車道に飛んでいって車数台に轢かれた後、なんとか捕まえることができた。
拾ったときには紙にタイヤ痕がついていて、なんだかドラマチックな雰囲気になってしまった。
風に吹き飛ばされたその紙に書かれたその地図を手に、交番に向かう。
2につづく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?