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「うんちはすごい」日本トイレ研究所・加藤篤さん#noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回はNPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんを紹介します。

日本トイレ研究所の代表理事として、「トイレ・排泄」を切り口に、社会をより良くする活動に日々励んでいる加藤さん。具体的には、災害時のトイレ調査や防災トイレワークショップの実施、小学校や街のトイレの環境改善に取り組んでいます。

11月10日(いいトイレの日)に、初の単著『うんちはすごい』(イースト新書Q)が発売されたばかり。加藤さんは、この本の執筆の場としてnoteを選び、2017年12月から、毎週月曜に記事を投稿してくださっていました。発売後の現在も、一人でも多くの人に、うんちのすごさを伝たいという想いから、全文無料公開されています!

トイレ・排泄は全人類が対象者。よりよい暮らしをつくるために

もともと建築家に憧れて、建築設計事務所に就職した加藤さんは、すぐに夢と現実のギャップに気づき、自分のやりたいことを見直したそう。その際に降りてきたのが、「トイレ」というキーワードでした。

「トイレには人々の生活が凝縮されています。私にとって『トイレ』という概念は、トイレ自体だけでなく、人間の排泄から始まって、トイレを通して下水・し尿処理場へ、そして自然に還元されるまで、そのすべてを指します。トイレから、人々によりよい暮らしを提案し、街を変えていきたいと思ったんです」

そのひらめきを得た1997年、加藤さんは、85年から続く日本トイレ研究所の前身である任意団体に所属。トイレを切り口に社会課題を見つけ、行政や企業に改善の提案をする取り組みを続け、2009年に仲間と一緒に日本トイレ研究所を立ち上げます。以来、トイレを通して、環境、文化、教育、健康について考え、よりよい社会づくりを目指し、日々活動しています。

日本トイレ研究所の活動の柱は、主に3つ。

①災害時に被災者の健康を守るために被災地のトイレ・衛生環境を改善すること。
②子どもたちが元気よく学校生活を送れるようにトイレ環境を改善すること。
③誰もが安心して外出できるように街のトイレ環境を改善すること。

「私たちはこの3つを実現するために、みんなの困りごとの声を集めて、行政や研究者、企業、マスコミやボランティアなどあらゆる人をつなげて、解決していく場づくりをしています。トイレ・排泄は世界中の、全人類が関係者なんです!!」

たしかに、排泄をしない人はいないし、トイレは1日に何度も行く場所。思い返してみれば、1歳の子育てをしている筆者は、おむつを替えられる場所があるかどうかは、お出かけの懸念事項にもなります。子育て世代だけでなく、セクシャルマイノリティの人たちや高齢者にとっても外出先のトイレ環境は重要な位置をしめるでしょう。トイレは私たちの生活に深く根付いているもの。

『うんちはすごい』制作秘話。noteが執筆を後押し

20年間、広義のトイレにまつわる活動をしてきた加藤さんは、トイレの起点であるうんちのすごさを伝える書籍を執筆することに。でも、日々精力的に活動するなかで、書き続けられるか不安だったそう。

「連載というかたちだったらやれるかもしれないと思い、編集者に伝えたら、書く場所をいくつか提案してくれて。すぐにnoteを選びました」

加藤さんがnoteを選んだ理由は3つ。

①すっきりしたデザインで品が良いこと。
②文章が読みやすいこと。
③クリエイターの表現の場であること。

「うんちは大切なことにもかかわらず、茶化されがちです。だからこそ私は、品良く、丁寧に、クリエイティブに伝えたいと思っています。その場所としてnoteは最適でした」

編集者とネタ出しをして、週1本、noteで原稿を書き始めた加藤さん。当時を「苦行だった」と振り返ります。

「20年もトイレにまつわる活動をしているので、書きたいことは山程あると高を括っていました。でも、私は、トイレを切り口にした社会課題はたくさん知っていても、うんちのすごさをほとんど知らなかったんです。だから、これまで培ってきたネットワークを活かして、取材に行き、勉強をして、私自身もうんちのすごさに驚きながら、執筆しました」

途中から、フォロワーが増えていったことも励みになったそう。編集者の髙部さんいわく、noteを拠点に書籍化を進めることの良さは、下書きの段階からnote上で原稿のやりとりができること、スケジュールが管理できること、連載中に読者の反応が見えること。

著者と編集者がタッグを組んで、毎週noteを更新し続け、新書『うんちはすごい』が誕生しました!

子どもたちが抱くうんちの世界観を変えたい

加藤さんが書籍『うんちはすごい』を通して、伝えたいことは?

「よりよく生きていくために、多くの人はインプット、つまり食べることばかりを考えています。でも、半分はアウトプット、うんちをすることです。毎日のうんちの状態を見るだけで、自分の健康状態がわかります。そのうんちのすごさ、大切さを正しく伝えたいんです!災害時は、水洗トイレが使えなくなります。そのとき、どうするか?そんな対応策についても詳しく書きました。

そして、子どもたちがうんちを恥ずかしいものだと思う文化を変えたい。子どもがうんちを我慢するということは、便意がなくなり、生きる力を奪うに等しいんです。うんちは生きるために必要な行為で、何も恥ずかしいものじゃない! 大人はこの本を読んで、子どもに伝えてほしい。そして、うんちの世界観を変えたい」

うんちのすごさを熱く、上品に、語ってくれた加藤さん。書籍『うんちはすごい』の最後の挨拶「おわりに」にあたるページには「おわらない」の文字が。

「トイレの起点であるうんちのすごさを伝える書籍は書き終えましたが、ここで終わるわけがない。終わりませんよ。noteがある限り、私は、うんちのすごさ、トイレの魅力を伝え続けていきます」


■クリエイターファイル
加藤篤(日本トイレ研究所)

NPO法人日本トイレ研究所 代表理事。小学校のトイレ空間改善や研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。災害時にも安心できるトイレ環境づくりに取り組んでいる。www.toilet.or.jp https://twitter.com/pooprince/
note:@unsugo

text by 徳瑠里香 photo by 平野太一



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