龍角散がのどに染みたときの話

高校時代、なんかくさい!とクラスメイトが言うと、席の近い友人が、訝しげに私の名前を呼んだ。内緒で口にしていた飴の存在を、斜め後ろの席の友人が知っているとは思わなかった。完全にバレていた。

臭さの元は、私の口の中にいる龍角散だ。
合唱部だったこともあって、のどのお守り的にも重宝していたし、風邪をひけばトローチの代わりに舐めていた。
トローチはすぐに溶けてしまうけど、飴なら1時間ほどかけて自分ののどにアプローチしてくれる気がして、満足度が高い。

龍角散の、口の中いっぱいに広がるはっかの香りと、鼻から抜ける空気の冷たさが好きだった。夏では涼しくて、冬では寒い。こんなに好きになっちゃって、いいところしか見えなくなって。

友人がのどの痛みを訴えたので、龍角散の小袋を取り出して「舐める?」と勧めたとき、「いらないよ」と即答される。友人とそんなお決まりな会話をすることが好きだった。けどまれに、「龍角散ちょうだい」と友人が欲しがる時があるので、少しむっとする。むむっとする。ほらねって!もちろん、あげますよ、あと3袋あるのだからね。


最近、久しぶりに風邪をひいて、のどを痛める日があった。
病院からはトローチをもらって舐めていたけれど、すぐになくなってしまったので、薬局で龍角散を追加購入した。

久しぶりの味、感覚が高校時代を思い出させて、noteに書きにきた。
やっぱり、夏に舐める龍角散は最高に涼しい。


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