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ヨーロッパナガミミズのコンポスト(2)

容器内の環境の悪化

2 か月ほど経ってから、朝にキャッチャーに多数の成熟したミミズが見られるようになった(未成熟のミミズは通算で 2、3 匹のみ)。また、白くて小さいミミズはベイビーではなく pot worm(学名 Enchytraeidae、和名なし)であることが判明したので、容器内の pH が低く(より酸性)、生ゴミ・水分を与え過ぎたようである。花用の土を投入してみたところ、そこに多くのミミズが避難していた。「protein poisoning」と思われる病気のミミズや息絶えているミミズも見られるようになった。

protein poisoning(以下、直訳して「蛋白質中毒」):生ゴミを与え過ぎると、分解されていない生ゴミをミミズが食べるため、ミミズの体内で分解が行われて消化器官にガスが溜まり、それが破裂してミミズの体に穴が開き、そこがソーセージの繋ぎ目のようにくびれる症状。そこで切り離されることもある。

暫く仕事が忙しくて手を付けられない状態が続いていたが、2019 年 1 月末に漸く新しい容器を用意した。構造は最初の容器と同じで、そこに鶏卵箱(市場で捨てられる)を湿らせたもの、落葉(秋にコンクリートの歩道に落ちていた)、花用の土を投入し、そこに古い方の容器のキャッチャーにいるミミズを引っ越しさせた。


シマミミズ vs ヨーロッパナガミミズ

この時点まで、シマミミズという前提で情報を集めていたが、ヨーロッパナガミミズである可能性の方が高いので、コンポスト方法を練り直さなければならない。

シマミミズとの最大の違いは、ヨーロッパナガミミズの方が大きいこと。つまり、進む力と肌が強いので、地表面近くに生息するシマミミズと比べて、ヨーロッパナガミミズは深く潜り込むことができ、耐湿性も高い。キャッチャーに落ちるようになった頃には中身の深さは 15 cm 程あったはずで、シマミミズがそこまで潜り込むのだろうかと疑問に思っていた。

ヨーロッパナガミミズとフロースルーシステム

ヨーロッパナガミミズのコンポストは欧米でもまだシマミミズほど普及していないらしく、英語でも情報が少ない。そのうえ容器がフロースルーシステムとなると、情報はないに等しい。

シマミミズよりも深く潜り込むヨーロッパナガミミズにとって、水平式は深さが足りないかもしれないが、シマミミズの地表面近くに生息する(上に移動する)習性を利用した垂直式も向かないかもしれない。

古い方の容器からドロドロに近い中身を深さ 7 ~ 8 cm 分取り出したときに、予想以上の数の繭(卵)やベイビーを見つけ、底のほうでは元気そうにしているミミズもかなりいた。

新しい方の容器は湿気は少なく、シマミミズよりも「湿気に耐えられる」ではなく「湿気を必要とする」のかわからず困っている。後者ならある程度の深さが必要だと考えるが、最初から土を入れて深くするのも躊躇される。2 回目の生ゴミの投入後、1 回目と 2 回目の生ゴミの下に集まっていたのを発見したので、餌が必要なのか湿度が必要なのかはわからないが、暫くは生ゴミ以外に水分を与えないことにしている。

ミミズの死

現在は、古い方の容器のミミズの方が元気そうで、キャッチャーに落ちているミミズもいない。プツプツという(移動する・食べる)音も盛んである。中身を取り出したとき、環境を完全に入れ替えるとミミズが慣れるまでに時間がかかり、新しい方の容器と比較できず、またリスクを分散するためにも、深さ 7 ~ 8 cm 分を残しておいたが、それが奏功したのかもしれない。また、未成熟のミミズがほとんどで、環境への順応度が高いのかもしれない。

一方、酸性が強くないはずの新しい方の容器で息絶えているミミズが毎日のようにいて凹む。最初は理由がわからず、全て成熟したミミズなので寿命であることを願っていたが、古い方の容器でかかった蛋白質中毒が原因のようである。本当に申し訳ない。

写真(閲覧注意)

共通しているのは、表面かキャッチャーで息絶えていること。「雨が降るとミミズが地上に出てくる」と言うが、水分が原因ではない。息絶えるときも鳥の餌になって環境に貢献しようとしているのかもしれないと思うと、その健気さに胸を打たれる。

いまは屋外のプランターに埋葬し、暖かくなれば田舎の土地に埋葬して自然に戻すつもりである。


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