見出し画像

J-クレジットとブロックチェーンの掛け合わせを考察

今回は、J-クレジットにブロックチェーンを掛け合わせる可能性について話しましょう。背景として、Metagri研究所のコミュニティで、新潟県の耕太郎農園のしだれ桜さんから、J-クレジットとブロックチェーンの組み合わせに関する興味深い提案がありました。

これは、省エネルギー設備や再生可能エネルギーの導入など、CO2削減を国に認証されたクレジットとして取引可能なJ-クレジット制度と、ブロックチェーン技術の融合による新たな取り組みです。


J-クレジット制度とは

J-クレジット制度は、日本の環境省と経済産業省が共同で運営するプロジェクトです。ここでは、省エネルギー設備の導入や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入、森林増加によるCO2削減を国が認証し、クレジットとして取引できます。参加方法は、CO2を減らす側の取り組みとして、減らした分をCO2の排出権として売却することです。例えば、三重県の伊賀の里もくもく手作りファームは、ビニールハウスでのトマト生産において、木質ペレットを用いた加温システムを導入し、年間40トンのCO2削減を達成しました。

引用:https://japancredit.go.jp/data/pdf/mokmok_c.pdf

まだまだ小さいJ-クレジット市場

J-クレジットの市場取引は、JPX(日本取引所グループ)によって運営されています。現在は実証実験の段階で、2023年10月の実証開始から3ヶ月でCO2の累計売買高は10万トンです。しかし、世界全体のCO2排出量に比べると、まだその規模は小さいです。

なぜなら、世界のカーボンニュートラル達成に向けた「510億トン/年」の削減目標に対して、J-クレジットの取引量はほんの一部しか占めていないからです。
取引量は10万トンは世界で毎年排出されている温室効果ガス「510億トン/年」からすると、たった”0.0002%”にしかすぎません。
詳しくは、ビル・ゲイツ氏の著書「地球の未来のために僕は決断したこと」をもとに地球温暖化の課題について紹介した記事をご覧ください。

市場の拡大はこれからだと思いますが、J-クレジットの仕組みだけではカーボンニュートラル達成にはほど遠いのが実情です。

ブロックチェーンを組み込んだプロジェクトの事例

J-クレジットの仕組みを土台としたブロックチェーン技術の活用はどのような影響を及ぼすのでしょうか。
e-dash株式会社が発表したプレスリリースを例に、ブロックチェーンとJ-クレジットの組み合わせによる新しい取り組みを見てみましょう。

e-dashは「HAZAMA」というブロックチェーンを採用して、エシカル商品の購入者にCO2削減に貢献するという形でNFTを発行する計画を発表しています。この取り組みでは、「Earth hacks」というプラットフォームを通じて、エシカル商品の購入履歴がNFTとして可視化されます。

Metagri研究所の取り組み

このような事例を踏まえ、Metagri研究所では、新潟県のナス生産者である耕太郎農園と連携し、彼らのCO2削減努力をNFTやFTを通じて可視化するプロジェクトを企画しています。

この取り組みは、農業とweb3、ブロックチェーンの融合を通じて、新たな価値を創出する試みです。
市場規模としては小さいかもしれませんが、ブロックチェーンを活用することで、より多くの人々が農業と環境保全の取り組みに関心を持つきっかけになるでしょう。

ブロックチェーンの可能性と課題

ブロックチェーンをJ-クレジット制度に組み込むことにより、市場はさらに小さくなる可能性があります。しかし、今のうちにブロックチェーンを採用することによる実証実験の価値は計り知れません。農業ベースでのブロックチェーン活用は、新しい市場の形成や農業の持続可能性に貢献するはずです。

農業とweb3の組み合わせは、これからの農業に新たな可能性をもたらします。耕太郎農園とのコラボプロジェクトは、まだ企画段階ですが、エシカルな消費を促進し、農業に新たな価値をもたらすことを目指しています。私たちのコミュニティに参加して、農業とweb3の可能性を一緒に探求してみませんか。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?