初めに克服すべきもの

「初めに克服すべきもの」
悪魔メフィストフェレスと契約をして
この世の中のあらゆる快楽を貪り尽くしたファウスト
「夜半」の章に
彼の家に入り込もうとして現れた「四人の灰色の女達」
その名は「欠乏」「憂愁」「困窮」「罪過」の四人

この女達(魔女)のうち三人はファウストの家に入る事が出来なかった
それはファウストは富貴であって、欠乏も無ければ、罪過もないから

ただ灰色の女「憂愁」だけが、鍵穴から家に入り込んだ

憂愁「誰でも私に捕まると、その人には全世界が無益なものになるのです」
「永遠に闇がかぶさって来て、太陽は昇りもしなければ、沈みもしない」
「耳目に何の障りも無いのに、心の中には闇が巣食うのです」
「どんな宝も、我がものとする事が出来ません」
「幸も不幸も共に悩みの種になり、豊かでいながら飢えるのです」
中略
灰色の女「憂愁」に息を吹き掛けられて、ファウストは盲目になった
人類を盲目にし、苦しみを与えて来たもの、それは「憂愁」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?