ゲーテのファウストはやはり素晴らしい。粂川訳を読んでいるが、とても読みやすい。なぜだろう、ユーモアがある。読んでいて疲れない。なんとなくだが、江戸っ子の語り口。また、ギリシア古典劇の部分は、それとわかるのが大変勉強になる。マルチヴァース(多層世界)という解説も読解を助けてくれる。
粂川麻里生訳『ファウスト』は、作品社から出ている。いままでの日本のファウスト本のなかで一番手に持った感じがいい。まず分厚いのが好ましい。そして二段組になっているのに感激。久しぶりに見た二段組。本を開くと見開き左頁の二段組の下の段に小さな字の注がまとまってある。この注の場所が絶妙。
粂川麻里生訳のゲーテ『ファウスト』を手に取ってページをめくる。この本は活字と空白の取り方が絶妙で、二段組なのだがとても読みやすい。訳も素晴らしい。この難しい本を全訳するだけでも大変な仕事なのに、読者に楽しんで読んでもらいたいという気持ちが感じられる、余裕のある訳。ユーモアがある。