見出し画像

グループホームの苦悩2nd~ケアマネ見聞録

※この投稿における「グループホーム」とは、一般に介護保険制度によって設置・運営されている、認知症高齢者を対象としたサービス・事業のことを指しております。
グループホームのケアマネの兼務範囲を広げてほしい、なる議論がなされているようです。
「ハア?3兼務(ケアマネ+管理者+現場の介護)はダメだけどそうせざるを得ないけどやっぱダメみたいな流れじゃねーのかよ!」という声がどこかの心の中から、阿鼻叫喚の如く


何と何の兼務か

兼務しまくりを行政が認める、ということがあり得るのかなと冷静に考えるところから始めます。
グループホームは、指定・指導を市町村単位(違うところもあるかも)で行っています。
普通の市町村は、グループホームは貴重な居住施設なので、しっかり運営していってほしい、と思っているのではないでしょうか。

「しっかり運営」です。

グループホームでは「管理者」「計画作成担当者(つまりはケアマネ)」は必置義務があります。
それぞれ「業務に支障のない範囲で」兼務が認められています。

管理者は施設設備や、スタッフの人事管理、運営管理等、割とやることが多いです。これが大手法人内とかだと、立場的には中間管理職みたいになってマジ大変ですから。

計画作成担当者は、ユニット(1ユニット=利用者9名まで)毎に1名配置し、そのうち1名は必ず介護支援専門員資格を有している必要があります。当然、毎月のモニタリングや支援等の業務が入ってきます。

兼務することの何が問題か

ただ、いかんせん、利用者が最大9名(1ユニット)なので、仕事してはそこまでカツカツじゃなくてもなんとなく出来てしまいますから、その分、介護業務を少し手伝ったりはできるでしょうし、やっても損はない。

ただ、人手不足のこのご時世、気が付けば介護業務が主になってしまい、大事な管理者やケアマネ業務が片手落ちになってしまう、またその逆も然り、ということが起こりがちです。
その結果、実地指導でアレコレ指摘され、最悪の場合介護報酬の一部返還とかなるともうね、そりゃ鬱になるよ。僕は能天気だったので良かったですが(?)

で、そういった事業所をいくつも見てきた市町村側も「本当に兼務で大丈夫なのですか?明らかに回っていませんよね?兼務は解消されることをお勧めします」という指導傾向にあるところも多いわけです。
聞いたところでは明確に3兼務をルール違反としている自治体もあるそうです。

そんなところに湧いて出た「グループホームケアマネの兼務範囲の拡大要請」ですからね。
目の下にクマさんがいらっしゃるそこのケアマネさんも「ハア?」ってそりゃ脊髄反射するわけです。

ケアマネの尊厳は守られるかも

ただ、そこで反応してネットに書き込むのはちょっと待っててもらって、社会保障審議会の介護給付分科会資料を見てみますと

以下引用


〇認知症グループホームにおいては、1事業所(おおよそ入居者9人~27人)ごとに1人以 上の介護支援専門員の配置が義務付けられており、介護支援専門員の従事者数は、居宅介護支援事業所を除き、介護保険サービスの中で最も多い。 ※15,547人(令和4年度厚生労働白書・介護支援専門員の従事者数)
○今後、認知症グループホームの需要の増大、担い手不足が見込まれる中で、認知症対応型共同生活介護計画の質を担保しつつ、介護支援専門員の柔軟な働き方を求める意見が挙がっている。
(要望事項)
○介護支援専門員について、兼務可能な範囲を拡大するなど、認知症対応型共同生活介護計画の質を担保しつつ、柔軟な働き方が可能となるような方策について検討していただきたい。


引用以上

と、なっております。
どこにもケアマネがグループホーム内の他の業務を兼務できるようにしてほしい、とは書かれておらず、そうも読めません。
グループホームのケアマネは他の事業所のケアマネ業務も兼任できないか、と読めるんです。

その先の展開に注目

そのままの意味で捉えると、例えば

  • グループホームのケアマネをしながら、地域にお住いの方や、他の施設のケアマネジメントもできる。

とは読めないでしょうか?
ということはつまり、

  • 居宅介護支援事業所や特養、特定施設などのケアマネがグループホームのケアマネも兼務できる。(※施設ケアマネがグループホーム兼務というのは実際は無理がありそうですが。)

とも読めると思うんですけど、どうですかねエラい方。
これを、現在行われている形に当てはめてみると

  • 医療連携体制加算の算定は、外部の訪問看護ステーションと契約することで算定可能(グループホームに看護師がいなくてもOK)

  • 住宅型有料ホーム等では、居宅介護支援事業所のケアマネが毎月訪問し、状態把握を行っている。

とまあ、こんな形に置き換えていっても全く問題ないようにも思えるんです。
しかも、これが出来るようになると「福祉用具問題」も小規模多機能型みたいな形で解消できるようにも思えます。
グループホームが高額な福祉用具を購入する必要が無くなり、利用者にはその人の状態に合った適切な福祉用具の導入が可能となるわけです。
グループホームはもっと認知症のケアに特化した施設になれると思うんです。

小規模で経営的にも厳しいと言われるグループホームの見直し、その時が来たのかな、とも思ったわけです。
いずれにせよ、この話題はもう少し議論の行方を見守りたいですね。
本当に、ケアマネは何でもやれみたいな話になるんだったらそれこそ、グループホームの存亡に関わってきますから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?