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「魔女宅」に感動する

 二十数年ぶりに、映画「魔女の宅急便」を観た。自分がガキのときには小さな魔女の成長物語なんて興味を持てず、「フーン」という感じに観ていた。しかし、今回はえらく感動してしまった。

この映画は、13歳になった魔女のキキが、修行に出るという話だ。知らない街に行き、いろんな人に出会い、変化に戸惑いながら懸命に生きていく。

で、どこに感動したのか?それは、キキの成長ではなく、出会った人たちの優しさに触れるシーンだった。

部屋を貸してくれるパン屋の奥さん、「宅急便」の看板に見立てたパンを作ってくれる旦那。思春期少女(キキ)に冷たくされても楽しげに話しかけてくる少年や、サプライズでケーキを焼いてくれる老婦人。山小屋に招待してくれる絵描きの少女…冷ややかな態度の人がいる一方で、これらの優しい人達にキキは救われる。

映画を観ながら、僕は社会に出たばかりの頃を思い出していた。新卒のとき、所属していた部署に馴染めず、心身ともに弱り切っていた。そんな自分に、とても優しくしてくれた1つ上の先輩たちがいた。

結局挫折して会社は辞めてしまったんだけど、最終出社日に会社を去るとき、ある先輩がビルの入口の前で僕を見送ってくれた。見えなくなるまで、彼は見送ってくれた。それを思い出して涙が出たのだ。

いまになって「魔女宅」に感じるところがあったのは、それなりにいろんな経験をしてきて、分かることが増えたからだと思う。子供のときに観た他の映画をいま観たら、こんな風に別の感動があるかも知れないね。

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