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2023年。じいちゃん・ばあちゃんがゲーマーとして描かれる時代の到来


 ちょっとだけ大袈裟な話をします。

 2023年夏。ゲーム広告のありかたに、大きな変化が訪れたようです。こちらの写真をご覧ください。

※某JRの駅に掲示されていた『マリオカート8 デラックス』の広告


 『マリオカート8 デラックス』の広告写真です。じいちゃん、ばあちゃんが、孫といっしょにゲームをプレイしています。夏休み時期のテレビCMでも登場していた光景でもあり、見たことのある方は多いでしょう。

 じつはこれ、日本のゲーム広告の歴史の中で、めちゃくちゃ画期的なワンシーンといえます。

 どこが画期的なのか? じいちゃん・ばあちゃんがコントローラーを握っていることです。そして、孫といっしょに対戦ゲーム(しかも反射神経を必要とするゲーム)をプレイしていることです。

 ここでは、じいちゃん・ばあちゃんが、れっきとしたゲーマー(ゲームプレイヤー)として描かれているのです。これ、ゲーム広告の歴史上、めちゃくちゃ画期的なことなのです。




 これまでのゲーム広告を思い出してみてください。

 多くの場合、そこで高齢者は「ゲームに触れた経験がほとんどない人」として描かれていました。

 任天堂は、かなり昔から、広告の中にお年寄りを登場させています。Wiiの発売直後(2006年)には、じいちゃん・ばあちゃんと一緒に『Wii Sports』を遊んでいるようなワンシーンが、広告に出てきています。

 でも、それらの広告の多くで、高齢者は両手でコントローラーを握っていません。棒状であるWiiのコントローラー(Wii リモコン)を片手に握り、それを振っている――といった形でゲームをプレイしています。

 つまり、それらの広告は、「Wiiというゲーム機、ゲーマーではない高齢者でも、直感的な操作で遊べますよ」というメッセージを伝えるためのものだった、ということです。

 2022年発売の「Nintendo Switch Sports」の広告も同様です。高齢者がゲームを遊んでいるシーンが広告でたくさん使われましたが、あのときも「身体を大きく動かす」「腕を振って遊ぶ」といったプレイ方法によって、高齢者はゲームに参加しています。広告の中で、じいちゃん・ばあちゃんの世代は、まだコントローラーを両手で握っていないのです。



 そんな歴史を知っていると、この写真のように、高齢者が両手でコントローラーを握り、孫たちと対等なライバルとして対戦プレイをしている様子を描いた広告は、めちゃくちゃ画期的であることが、よくわかります。

 ゲームは、子供や若者だけの娯楽じゃないよ!

 孫がいる世代の人たちも、みんなゲームを楽しむ時代だよ!

 じいちゃん・ばあちゃんたちは、れっきとしたゲーマーだよ!

   2023年夏。任天堂は、そんなメッセージを発信してきた、ということなのですね。今後、テレビゲームは「子供と、大人と、そしてじいちゃん・ばあちゃんの世代と、3世代が楽しむ娯楽ジャンルになる」のだと、任天堂は強く宣言したのです。




 でもまあ、そんなメッセージが発信されたのは、時代の流れからすると、当然のことではあるんですけどね。

 ファミコンの発売は1983年です。もう40周年です。そのときに少年だった世代、若者だった世代は、もう孫がいて当然の年齢になっています。

 いまの時代「ゲームがめちゃくちゃ上手い還暦くらいの人」なんて、まったく珍しいものではなくなりました。格闘ゲーム黎明期の凄腕プレイヤーたちも、みんな、そんな年齢になっています。

 だから、じいちゃん・ばあちゃんが、孫といっしょにゲームを遊ぶのは、いまでは日本中で当たり前の光景になりつつあるのです。高齢者がコントローラーを握るシーンが広告として全国的に提示されるようになったのは、当然すぎるほど当然のことなのです。




 でね。

 そう遠くないタイミングで、Nintend Switchの後継機が、世の中に登場してくるわけですよ。

 2023年の株主総会の場で、任天堂サイドが「今期中に出す予定はない」と明言していたので、2024年春までは出ないだろうと推測されますが、海外のゲーム情報筋の話が載っている記事などでは、2024年内には発売されるだろうとの予想が書かれていたりして、いずれにせよ、そろそろ新ゲーム機の気配が漂ってきました。

 それが、どんなゲーム機なのか、わたしは知りません。

 世の中には知っている人もたくさんいるのでしょうが、それらの人にはガチガチの守秘義務があるため、そうそう外部に漏れることはないでしょう。

 いろいろと"リーク情報"と称されるものも出てきていますが、それらは、かなり疑いながら読むべきものです。ほんと、新しいゲーム機の「本当の姿」なんて、そうそう漏れることはないのですよ(笑)。




 ただし、まったくわからない中でも、ひとつだけ、予想できることがあります。

 それが、次のゲーム機は「三世代で遊ぶ」というコンセプトのゲーム機になるということです。

 きっと、子供、親、そして祖父・祖母たちが、みんなで遊べるよ! というメッセージを込めたゲーム機になるでしょう。そういう方向性のゲーム機であることが、ゲーム機を販売するにあたってのプロモーションの軸のひとつになるだろうな、と、わたしは予測しております。

 いま、Nintendo Switchを紹介する冊子(ゲーム売り場にたくさん置かれています)の中では、親と子供がいっしょにゲームをする光景を描いた写真が、たくさん載っています。

 新しいゲーム機では、そんな冊子の中で、子供、親、じいちゃん・ばあちゃんの三世代が、いっしょにゲームをする光景が登場するようになるのでしょう。この予想、かなりの確率で的中すると思ってます。




 この予想に興味を持たれた方は、2023年6月に行われた任天堂の株主総会の質疑応答を、ぜひ読んでみてください。

 そこでは、去年までとは、ちょっとだけ違いがありました。任天堂サイドから「あらゆる世代が~」「祖父母の世代が~」「3世代で~」といった言葉が頻出するのです。かなり意図的に、そういう言葉を選んで発信しているのだと思われます。

 わたしたちは、これからは「祖父母の世代」をゲーマーとして認識し、そこを意識した娯楽を提供していきますよ!

 ――という意志表明みたいなものが、そこから読み取ることができるのです。となれば、遠くないうちに登場するであろうNintedo Switchの後継機は、子供・親・祖父母の3世代をまるごとターゲットにしたマシンになるんだろうな、と、わたしは予測しています。

 とするならば、冒頭に紹介した広告写真は、そんな「3世代が仲良くゲームをプレイする時代」の到来を、ひと足先に伝えるための広告だったんじゃないか? だから、じいちゃん・ばあちゃんにコントローラーを握らせたシーンを描いたんじゃないか? ――と、ちょっと無理矢理ながらも、そんな深読みをすることも、可能なのかもしれません。

株主総会の質疑応答は、任天堂の「株主・投資家向け情報」のページにあります。興味のある方は探してみてください。



 とまあ、いろいろと書いてみたわけですが。

 念のために書いておきますが、こういった未来予測的なことは、「当たる可能性も、ちょっとくらいあるかな」くらいの気持ちで読んでください。くれぐれも、すべてを信じないようご注意くださいね(笑)。

 未来なんか、すべて予想できるはずがないですからね。当たるも八卦、当たらぬも八卦、でございます。

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