見出し画像

脱線日記「ハローマックは決してAIでは生み出せない」

・スーパーマーケットの陳列棚を眺めると、動物園で餌を持った人に必死で手を振るツキノワグマたちを思い出す。いろんなデザイナーがこぞって売れるためのパッケージデザインに奔走している。最近ではAIを使って最も売れるように調整されたデザインのものが世に出ているとのことだ。そういうのを知ると、陳列棚に並ぶ商品パッケージたちの「買って買って」アピールが時折り鼻についたりする。

・そうなると逆に成城石井とかで売ってる「商品名とバーコード以外何も書いてない袋」に入ったドーナツとかポテトチップスの類を見ると「ストイックだなぁ〜」と思ってつい買いたくなってしまう。あの何も飾らない、シンプルに味で勝負してる感じが購買意欲をそそるのだ。でも逆にそれがドーナツ側にとってそういう戦法だったとしたらすごく嫌だな。ドーナツが裏をかいてくれるな。

・ミスタードーナツはアメリカ生まれなのにもうアメリカには1店舗しかないらしい。TOWER RECORDSとローソンに至ってはアメリカ生まれなのにアメリカでは既に消滅しているそうだ。最近だとトイザらスも。これって逆に考えたらすごく不思議な感覚だ。日本で消滅したはずのジャスコやハローマックをアメリカのそこら中で見かけるという感覚だ。まさに「生きとったんかいワレ!」である。両鼻から鼻水噴射必至だろう。

・ハローマックは知ってる人と知らない人が露骨に分かれるので安易に名前を出すと内輪ネタとして距離を置かれる危険を孕んでいる。しかし、ハローマックノスタルジアの我々としては後世までこの名前を口ずさみ続ける他ないのだ。ハローマックはおもちゃ屋だ。僕の地元のおもちゃ屋はハローマックしかなかった。ハローマックはドラッグストア並みの大きさなのであまり品揃えは良くない。でも子どもの頃の僕はその世界しか知らなかったので、おもちゃの総体はこのくらいなのだと錯覚していた。井の中の蛙大海を知らず。

・コロコロコミックを読み始めてから、始めのカラーページには見たことない魅力的なおもちゃがたくさん載っているのを見て、どうやら僕らが見ている世界はとっても狭いイデアの洞窟なのだと気付き始めた。僕はそれからハロマが憎かった。どうしてお前はキリンではなくライオンなのか。百獣の王が聞いて呆れるわ。店舗の壁に直書きしやがって。俺は降りるぜ。あばよ。

・そんなこと言ってたらいつの間にか全店舗閉店になってしまった。またある者はよく似た靴屋になってしまった。無くなって初めて、僕は本当はあの子のことが好きだったのだと気付いた。居るうちにこの気持ちを伝えてあげればよかった。たった一言「好き」と言ってあげればよかった。いなくなってから大切さに気付くって本当に愚かだよね。あいつの良さはAIで生み出せるもんですかい。

・って、トイザらスに対して思ってたアメリカの少年いたのかな。少年よ、大きくなったら日本に来なさい。サンシャインシティとかにあるぞ。良かったな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?