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違和感のある言葉たちを見つめると、自分の立ち位置が見えてくるという話②

こんにちは~!
社会保険労務士を生業として、中小企業の雇用環境整備の支援を行っております、やはだと申します。学生時代のあだ名”つーじー”で活動する時もあります。

以前、仕事でつかう言葉へのこだわりは、職業上のその人なりのこだわりが表れる、という話をしました。

その回に引き続き、私が職業上、違和感を感じる言葉について語っちゃうシリーズです。(注:大いに語る、って感じで長いですよ!)


大げさに聞こえるかもしれませんが、会社の雇用環境を整備することは、人間関係の土台をつくることだと考えています。
そして人間関係の土台をつくるからには、遣う言葉にも人一倍こだわりたいと思ってます。

うっかり発する言葉が、その言葉がもとから備えている語感によって一人歩きして、目的地と違うところにたどり着いたりしないか、気を回しています。

???

意味わからないですね。

具体的には、《就業規則》という言葉に長らく違和感を感じていて、違う言葉に置き換えられないものか…と考えあぐねているのですが…

今日は、そんな《就業規則》について私が考えていることを。

こだわる言葉その2《就業規則》

私たち社労士にとってみると、≪就業規則≫は当たり前すぎる言葉ですが、 事業主・社長さんとお話ししていると『就労規則』とか『就業規定』とか、結構あやふやに言ってきます。
それで十分に通じますが、私は「あぁ就業規則ですね」と、にっこりして角の立たないように訂正します。

≪就業規則≫というのは法律上で定めている言葉です。労働基準法では89条~93条で就業規則について定められております。

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

労働基準法より

って感じですね。

でも私は何も「法律用語だから!」ってフンガー!とこだわりたいんじゃないのですよー。むしろ全く逆。

就業規則をもっと身近に

みなさんは、ご自分の会社あるいは以前勤めていた会社の就業規則ってご覧になったことありますか? 

なんとなーくですけど、自分の会社の就業規則を読んだ(見た)ことがある人っていうのは、雇用される人の10%から20%ぐらいなんじゃないのかな、という肌感覚があります。調べたことがないので無責任に適当なことを言ってますが。でもそのくらい、読んだことがある人は少数派だと思ってます。

読んだことがある人というのは、 仕事を続ける上で何か困ったことがあるから読んだのだと思います。 例えば、
・給与で支払われる手当が少ないんじゃないのかと疑問に思った時
・育児休業って取れるのかなと考えた時
・自分の定年って何歳なんだと思った時、…など。
実際のところ、普段はそれほど困ることが少ないから、読まなくて済むんですよね。

だけど、果たしてそれでよいのかな、といつも思います。

もっと社員と就業規則は身近であった方が良くない?と。

私たち社労士は「就業規則は会社の憲法です」なーんて説明しがちです。(後から述べる通り、実際に”憲法”なのですが)

でも、「せっかく就業規則をつくるのであれば有難がってほしい」という提供者としての勝手な思い込みが強すぎて「就業規則は会社の憲法」説を推してしまうのはいただけません。就業規則を神聖視しすぎているというか。

そして、私たちは当たり前すぎて「就業規則」と言ってしまいますが、それが本当に良いことか。
就業規則が本来目指すところと、社員が抱く就業規則のイメージが乖離してしまうのではないかなぁと。

私は、≪就業規則≫という言葉そのものが持つ強制力の強さに思いを馳せる必要があると思っているのです。

”規則”と言ってしまうと、守らないといけないもののイメージが強く出ると思います。義務で縛られる、窮屈な、それによって拘束されてしまうもの。(それは「校則」は守らないと行けないルールである、という学校教育によって育まれてきた部分があるかもしれません)

したがって、労務管理の専門家として、「就業規則は会社の憲法です」で済ませてはいけなくて、憲法がどんな役割を果たすのかまで説明し、より深い次元で労使の協調をはかるよう、啓蒙する必要があると考えます。


固い話が続くからネコの写真おいておきます

憲法は何のために、就業規則は何のために

日本国憲法は守らないといけないもの、ではなくて、国民のために、国民の権利・自由を国家権力から守るためにあるのです。

日本弁護士連合会HP”憲法って、何だろう?”

就業規則に当てはめて言えば、就業規則で決められているのは”義務”だけではありません。社員の”権利”も同時にうたっています。
裏を返せば、会社が守るべき義務を規定しているのであり、同時にところどころで会社としての権利(大きなものとしては懲戒権など)を定めています。

あり方としては、一方的に会社が押し付けるものではないはずです。
会社と社員との間の約束事が、本来あるべき姿です。

雇用される側は自分の権利について、もっと知っておいた方が良くないですか?それが「社員と就業規則はもっと身近であった方が良くない?」という真意です。

固いよな~と思う件

働く人にとってみたら、困った時に読めば済むもの、 その感覚も持っていたいと思います。取扱説明書みたいで、なんか読みにくいですよね。正直、積極的に読もうとは思わない。

例えばこんな感じの文調が続くのですが…

「会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。」

厚生労働省のモデル就業規則より

⇒ 一文が長い!
⇒ ”するものとする” の語尾がちょいウザ?

誰が読んでも誤解がないようにするためには、言葉を厳選し、言い回しにも細心の注意を払う必要があります。

…ん~、でももう少し柔らかくしたいよね、と個人的に感じてます。分かりやすく簡潔に、かつ誤解を生まないように明文化できるように、努力をしないとなぁ。(難しそう)



そんなこんなの、以上のような思いがあって≪就業規則≫には違和感を覚えてます。

条文の中身を作り変えて、柔らかく分かりやすく、親近感がわくようなものにしていくことは今後の私の課題の一つです。ライフワークだと思う。

が、その前に、≪就業規則≫の呼び方を何とかいい代案がないか、ずっと考えてます。漢字4文字がならぶと、それだけで固いし。

働くうえのお約束?ワークルール?ワーキングマナー?

どうにもしっくりこないのですが、今のところ私の事務所では「ワークルール」推しにしています。


友人が『おじさんライフキャリアコミュニティ』というコミュニティを主宰していて。

彼女は「『シニア』でも『高齢者』でもなく『おじさん』と言っておけば、『おじさん』といっても許してくれる、気のいいおじさん達が集まると思って」と言っていて、なるほどなぁと思ったのです。

おじさんという言葉が集客のフィルタリング効果を発揮しているわけで。

同様に「就業規則」ではなく「ワークルール(仮)」を作成すると言って、ピンとくる会社さんが、私のもとに相談に来てもらえたら。あわよくばですが・・・。

長文をお読みいただきありがとうございました♡



☆★☆このnoteについて☆★☆

読む人がすーっと読めて、なんとなーく労務管理脳になってもらえることを目指しています。会社員、社長や管理職、正社員もアルバイト・パートも、またフリーランスなど雇用契約を結んでいない人、どんな人でも働くときの権利について知っていて損はありません。

働く全ての人が知識の底上げをしていき、私の目指す世界「人生・仕事を面白がれる大人を増やす」につながっていくことを期待しています。

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