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BTS "Epiphany" 繰り返す事でたどり着く場所 ~日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.021

僕がこの世で愛すべき人は僕だ
輝く僕を 大切な僕の魂を
今になりやっと気付く
だから僕は僕を愛している
ちょっと足りなくても
とても美しいんだよな
僕が愛すべき人は僕なんだ

Epiphany


本当におかしい
確かに僕は君を
随分愛していたのに
何でも君に合わせて
君のために 生きたかったのに
そうすればする程に
僕の中の嵐が手に負えなくなり
笑顔の仮面に隠れた
本当の僕の姿を全部さらけ出す

僕がこの世で愛すべき人は僕だ
輝く僕を 大切な僕の魂を
今になりやっと気付く
だから僕は僕を愛している
ちょっと足りなくても
とても美しいんだもの
僕が愛すべき人は僕なんだ


(揺れて怖くても前に歩いて
嵐の中に秘めていた
本当の君と出会って)


なぜ 僕はこうして
大切な僕を隠したかったのか?
何がそれほど怖くて
僕の 本当の姿を隠したのか?

僕がこの世で愛すべき人は僕だ
輝く僕を 大切な僕の魂を
今になりやっと気付く
だから僕は僕を愛している
ちょっと足りなくても
とても美しいんだよな
僕が愛すべき人は僕なんだ


多少なまくらで
物足りないかもしれない
はにかみがちで
目も合わないかもしれない
だけどこのままの僕が
つまりは僕なんだもの
今まで生きてきた僕の
腕と脚、心臓、魂を
愛したい この世界で
輝く僕を 大切な僕の魂を
今やっと気付く
だから僕は僕を愛している
ちょっと足りなくても
とても美しいんだもの

僕が愛すべき人は、僕なんだ



韓国語歌詞はこちら↓
https://m.bugs.co.kr/track/31203510

『Epiphany』
作曲・作詞:SLOW RABBIT , "Hitman" Bang , Adora


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この記事の公開日である12/4はバンタンの長男・ジンくんの誕生日です。생일 축하해요~

ずっとこの日に和訳をアップしようと温存していた私の大好きな曲 "Epiphany" は、リパッケージアルバム「LOVE YOURSELF 結 ‘ANSWER’」に収録されている、言わずと知れたジンくんソロの名曲です。ねとらぼの「【BTS】好きなソロ曲ランキング」ではダントツで1位を獲得しています。


1.唯一「結」を担う歌

V LIVEに上がっているナムさんの「7」ビハインド動画によると、FIX直前まではジンくんが制作に携わっていた曲がアルバムに収録される前提で動いていたけれど、突然パンPDニムが持ち込んだこの曲が急遽採用になったとのこと。

作詞・作曲を最初から最後までパンPDニムお一人でこなされたというこの曲は、破壊力がすごいし、ジンヒョンだからできる歌、唯一コンサートで拍手が出た歌、とナムさんが絶賛しています。
(クレジットには複数名のお名前が併記されていますが、ナムさんの話を聞く限りおそらく原曲からそう大きな変更はなかったのではないかと思われます)

花様年華シリーズにおいて唯一の俯瞰者である「ソクジン」の物語と、アルバムにおいて唯一「結」を表現するこの歌を担うジンくんの存在を重ね、彼だからこの役割を果たせるのだという趣旨のナムさんの話を聞いて、なるほど、と腑に落ちました。

記事冒頭にリンクを貼ったLY結のカムバック・トレイラーでは、同じ痛みを繰り返す「ソクジン」の苦悩をなぞるかのように、同じ部屋で同じ行動を繰り返すジンくんが描かれています。「ソクジン」と「Jin」の絶妙なシンクロ感に一瞬で引き込まれてしまいます。

収録されなかった曲がどんな曲だったのかも気になるところではありますが、この ”Epiphany” がLYシリーズの要の曲として、また、防弾少年団のJinという人物を通して今現在世界に響きわたっていることに感謝せずにはいられません。


2.上質の “Epiphany” 体験

“Epiphany” は「悟り」とか「(本質についての)ひらめき」と訳されます。普段あまり耳にする事のない言葉ですがその響き自体に神秘的なものを感じてしまいます。この曲の歌詞の主人公は、「僕がこの世で愛すべき人は僕だ(I should love in this world)」と「今になりやっと気付(이제야 깨달아)」いています。

好きな人に好かれたいが故に、自分を良く見せようとしたり、相手に合わせて無理をしたり。でも取り繕うことによりかえって荒んでしまう自分の姿を「本当におかしい(참 이상해)」と疑問に思い、真に思い遣る必要があるのは自分自身なのだと悟るのです。

蓋を開けてみたら(翻訳してみたら)大事な事だけがシンプルに、且つ丁寧に並べられていて、下手な例えやエピソードを交えずにストレートに訴えかけてくる歌詞に驚きました。
聴くだけで「気づかされる」、正に “Epiphany(悟り)” 体験ができる歌だと思います。
このような人間の生き方の本質を歌う歌詞には、ジンくんの真っすぐな歌声がぴったりだと思いました。


3.繰り返す事でたどり着く場所

先程も話題に載せたLY結のカムバック・トレイラー、最後まで視聴すると次のようなメッセージが現れます。

나 자신을 찾는 여정의 끝에 다다른 건 다시 제자리
(自分自身を探す旅路の果てに辿り着いたのはまた元の場所)
결국 찾아야 하는 것은 모든 것의 시작이자 이정표인 영혼의 지도
(結局、探さなければならないものは全ての始まりであり、道しるべである魂の地図)
누구 에게나 있기만 아무나 찾을 수 없는 그것을
(誰にでもあるだけに、誰にも探せないそれを)
나는 지금부터 찾아보려 한다
(僕はこれから探してみようと思う)

https://m.bugs.co.kr/track/31203510

花様年華のストーリーにおける「ソクジン」という数奇な運命を持つキャラクターは、一度理解すると設定としてはとても面白く、強烈に想像を掻き立て、そこはかとなく興味深い存在です。

その彼を少し離れたところから見てみると、各媒体で彼が考えている事、取っている行動は、普段の我々の思考や行動を視覚化したものであるといえるのではないでしょうか。

例えばひとつ、失敗をしたとする。
それを打ち消す為にはどうしたらよいのかを考え、時に後悔をし、時に対策を練る。
同じ事を頭の中や現実世界で反芻し、同じ道をわざと通ったり、あるいは別の道を選んだり。
何が解決への近道なのかがわからずにもがいた経験は、きっと誰もが持っているものでしょう。

「ソクジン」の生き様、トレイラーのメッセージ、そして "Epiphany" の歌詞が示すもの。それは、迷ったり、後悔したり、立ちすくんだりした時こそ、本当の自分自身の姿に目を向け、耳を傾ける必要があるという事なのではないでしょうか。

どんなに理想からかけ離れた現実を突きつけられても、実現したい幸せの為にまずしなくてはならないこと。それがLove Myself、自分を大切にすることなのです。

今では自己肯定感の塊のようなジンくんも、そこに至るまでの道のりがあったという事は色々な資料から窺い知れますし、昨年は心にぽかりと穴が開いてしまった時期があった様子ですが、PTD ON STAGEでの姿を拝見していると…もう…あーこの人は本当に自分のことを限界まで理解しようとしていて、だからこそ人に与える幸福の色が目に見えて濃いのだろうなと。

失敗して、後悔して、自虐して、堂々巡り。それでも必ず経験が積まれていくことを信じて、自分だけにしか見えない、自分だけの「魂の地図」を胸に突き進む。
簡単ではないことだけど、彼を道しるべにしていればきっと自分にもできる。そんな気持ちに自然とさせてくれるのが、ジンくんという奇跡なのでしょうね…。

いつもアラサーという既成概念を積極的に破壊してくるジンくん、どうかこの一年も楽しく、楽しく過ごしてね🐹



最後まで読んでくださりありがとうございました!


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