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笑いの衣の中身

2023年8月13日(日)プロジェクトなづき稽古日誌

今回より今井歴矢さんが参加。プロジェクトなづき創設期よりなづきを支えてきた一員です。 以前田口和さんの稽古に参加されていた今井さん。稽古形態等違いはありますが、無事合流となりました。

そんな2度目の稽古ですが、初稽古と同じく和やかな雰囲気で始まりました。 冒頭で今回の音楽のゲストについていったいどんな方なのかと今井さんと伸枝さんから質問があがりました。川津にとって恩人のような方だと経験を踏まえて説明しました。今回のゲストも参加した、ある即興を中心とした本番の際川津は決断に迷いが生じたことがありました。ゲストは具体的にどこがダメだったのかということを語り、またいろいろなことを配慮しつつどういった手順を踏めば、改めてこういった舞台にチャレンジできるかというところまで話してくださいました。弁明の余地もないほど自身の失敗を自覚した時なんとも名指しようもない気持ちとなって川津は嗚咽を耐えることができなくなりました。この体験がきっかけで川津は迷ったら行動するということを学習しました。川津さんでも号泣することがあるんだと伸枝さんに言われました。ちなみに川津はめったに人前で泣くことはありません。またゲストは独特な奏法で楽器を演奏され、語り、演劇とも親和性のある方です。今までその方の演奏を聴いたことがないお客様にもその方の演奏を聴く機会を作りたい。そしてなづきにとってもあらたな演奏者とのコラボレーションがこれまでにない反応を醸成させると判断し、お招きしました。 話を聞いていた伸枝さんも腑に落ちたようです。

さて、雑談を踏まえながら稽古本題へと入ってゆきます。 初稽古のときに披露した小品をさらにブラッシュアップしても良いし、全く異なるアプローチの仕方で初回の題材を用いてもよい。うまくやろうとしないでとりあえずやってみて、現場で意見交換しながら少しずつ練ってゆきましょうとゴーレム佐藤さん。 柔軟で関係がフラットな、それでいて集中力もしっかりと試されるという非常に良い現場となっています。

稽古が始まります。今井さんのエチュードに対し、主題に改めて疑問を呈するところをゴーレムさんは評価されていました。 月読彦さんもそうですが、今井さんは物語の型が一通り内在化されているため、即興的なエチュードとは言え、その型をベースにご自身の世界をアウトプットすることが得意です。 そういった型の強みと、今井さんのお人柄がほどよく調和した稽古でした。

次は川津です。 前回の稽古で言われたことを念頭において、二つの習作を用意しました。まずは新しいものを披露。これをそのままやるとなると途方もないことなので、 川津ちゃんの世界に入ってこられるように窓口を用意した方が良いだろうとゴーレムさんは指摘されました。詩作で用いる方法とも似ているため、川津にとっては親しみ深い実践法ともいえます。

伸枝さんは初回の稽古のテーマを違う演じ方で演じられました。伸枝さんがアクト中のある行為についてゴーレムさんと上野さんから具体的な感想が出ました。こういった丁寧な会話を重ねつつ、ゴーレムさんがヒントを示すことにより個々が自身の頭で考え、作品を深める。活きたサイクルが生まれつつあります。

そして上野憲治さん。参加メンバーは大爆笑。 初稽古で用いた小道具を持ちつつ上野さんの強みである身体性を大きく活用したアクトでした。 笑いを惹起しながらも、実は非常に酷な問題を内包していました。今回の公演の軸となるものが上野さんのアクトにはあるのかもしれないと感じさせるパフォーマンスでした。ゴーレムさんがおっしゃるようにメンバー全員に無意識のうちに宿っているテーマが上野さんのアウトプットに集約されているともいえるかもしれません。

月読彦さんは短めのエチュード。いつも物語の型を意識的に活用して即興もおこなっているが、今回はそういったアプローチではなく、その場から生じていく非常に即興性のあるアクトが新鮮だったと上野さん。月読彦さんがいうには、他のアクト陣のパフォーマンス全体を鑑みて、軽みに注視したアクトを行いたいそうです。

川津ちゃん、もう一つあるって言ってたよね。ゴーレムさんの呼びかけに前回の作品をブラッシュアップさせたものでお答えしました。結果、先の習作とをひとつに溶け合わせたものを次回から醸成させることになりそうです。

今回の稽古から参加の今井さん、終始にこやかでリラックスして、メンバーとの話し合いや稽古に参加されていました。それが川津はうれしかったです。

次の稽古は9月ですがその前に過日の公演の打ち上げがあります。 久しぶりにお会いする顔もあり、たのしみです。

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