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【『手帖』と手“帳”(14)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 14日目)

なるべくお昼頃、このコラムを投稿しよう…と思っているが、展示の予定的になかなかそうもいかなくて、これを書きはじめたのは夕方、サブテレニアンの最寄駅(のひとつ)・板橋区役所前駅にそろそろ着くところだ。
そして、改めて昨日を思いだそうとしても、それがついさっきも行っていた、大久保のCallboxであることが面白い。

13日のcallboxでは、“ダニエル・ホール”さんが1日だけ展示をしていて、もうすっかり見慣れたウインドウギャラリー内には「Red Bull」が100本近く、端から端まで、散開しながら埋め尽くしている。それは、ミニマルアート自体を“反復”する、ある種の皮肉ではあるけれど、反復がそれ自体、美術的な手つきだと思うのは、特に最近、Durational performance に関わっているからで、繰り返される動作(例えばサイコロを6個降る)を眺め続けることは、“閾値”を下げる過程でもある。
並んだRed Bullを見ていると、だんだんと“Red Bull”というラベル…エナジードリンクであることとか…が剥がれ落ちて、もの自体を見ている心地がする、それは、1個だけを長時間見ても起こるかもしれなくて、“同じ”ものをたくさん展示することは、ある種、時間をはや回ししていくこととも通ずる。

callboxの前には、新宿の居酒屋で佐塚さん、下山さん、三熊さんとの中間会議があって、ラストスパートのかけ方(そしてクラファン後の動き方)についてを確認し合う、実際、“ヒラオカテチョウ”という響きを、三熊さんから聞いてまだ7か月弱で、ここでもはや回しのようだ。正直、瞬発力のない私には、ついていくのにやっとな部分もある。

そして、昨日の最初は阿目虎南さんの舞踏だったが、真正面の光源によるシルエットは平川恒太さんの絵へ投影されている。
“舞台”下手から中央へ、転がりざまに三度跳躍した阿目さん、その影の、首筋から肩のラインが満ち引きする海面のようで、流氷めいたバラバラの“地図”、その上に記された「vrede」「pokój」「fred」…はすべて「平和」という言葉だ。“平和と言っても、それぞれの言葉が指す平和は違うかもしれない…”というのは平川さんの言葉を、うろ覚えながら引用した不正確なものだが、その不正確には、白塗りの阿目さんが右肩から床と衝突した結果、白粉の跡が残されたように、私が平川さんの言葉と出会った時、その“ぶつかり方”を留めているかもしれない(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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