平岡希望

4月から、国立奥多摩美術館館長の佐塚真啓さんと、ハンマー出版主宰の下山健太郎さんと共同…

平岡希望

4月から、国立奥多摩美術館館長の佐塚真啓さんと、ハンマー出版主宰の下山健太郎さんと共同で、『平岡手帖』クラウドファンディングを実施します(詳細は固定記事をご覧ください)。 ひと月に見た展示、その間の私事や、そこから考えたり思い出したりしたことを、“小説”の心持ちで書いていきます。

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『平岡手帖』開始のお知らせ

【クラウドファンディングのお知らせ】 ――――― 2024年4月1日から 『平岡手帖』定期購読者を募る クラウドファンディングを開催します。 まだ、ページの公開はされていませんが。 始まりましたら、ぜひご支援よろしくお願いいたします。 - ○『平岡手帖』 ○場所:CAMPFIRE ○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定) ○目標金額:170万円(定期購読者300人) ○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版 ――――― ●●●●●● - 202

    • 【『手帖』と手“帳”(28)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 28日目)

      昨日は家で、企画メンバーとして関わっているDPPT(Durational Performance Project Tokyo)、その第1回ワークショップについて書いていて、今月中には完成させたい(そもそももう1か月経っている)が、書きたいことが多すぎてなかなかまとまらない。そもそも気圧のせいか、あまりはかどらないまま、夕方になったので散歩がてら、巣鴨に保坂和志さんと山下澄人さんのトークを聞きに行く。散歩がてらなのは家から近いというただそれだけのことで、内心は緊張している。『君

      • 【『手帖』と手“帳”(27)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 27日目)

        17時。新宿【デカメロン】の2階に上がるとがらんとした空間が広がっていて、左手の、隣り合う展示室を覗く。ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの《貧しき漁夫》みたいに、木舟の舳先でこうべを垂れた人影がいて、その人が三谷蒔さんらしい。 手に持った、ゴールデンハムスターくらいの氷を三谷さんはがりりと齧る。飛び散った破片がひとつ、舟と私の間に落ちて、私がいた3時間の内に、当然溶けてはいたけどぷっくりとした水滴のままだった。 船首には(おそらく)ユリが、まだ青々とその花弁を閉じていて、舟の“進

        • 【『手帖』と手“帳”(26)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 26日目)

          外苑前に新しく出来た、多摩美の【Up & Coming】にTAKU SOMETANI GALLERY から向かう。まさかこんなに早く、再会できるとは思っていなかった齋藤春佳さんの絵画が窓越しに見えて、相変わらず画中では、桜色のカーテンが、右奥から左手前へと吹き抜ける風を知らせている、そのやわらかさが、つい先ほど見た、柿坪満実子さんの胸像を包む布地と重なる。“カーテン”はちょうど歩いてきた方向になびいていて、なんだか招かれているようだ、そのまま、コンクリ打ちっぱなしの廊内へ上が

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        『平岡手帖』開始のお知らせ

        • 【『手帖』と手“帳”(28)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 28日目)

        • 【『手帖』と手“帳”(27)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 27日目)

        • 【『手帖』と手“帳”(26)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 26日目)

          【『手帖』と手“帳”(25)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 25日目)

          久しぶりの日差しに誘われて、1駅分歩いてみる。ひとっ飛びに初夏になってしまったようで、あどけない緑葉たちは無邪気に嬉しがっているようみたいだけど、まだやわらかな肌が火傷してしまわないか、少し心配だ。 最近なんだか疲れやすいのは、身体を動かしていないからかもしれない…と、昨日は、しばらくサボっていたストレッチをやってみた。半分寝そうなくらいゆるゆるとしたものだったが、それでも凝った血液が回りはじめたのか、少しだけど身体が軽い。小腹が空いたので、リンゴを剥いて食べる。二切れだけ

          【『手帖』と手“帳”(25)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 25日目)

          【『手帖』と手“帳”(24)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 24日目)

          この“コラム”が、どれほど宣伝になっているのかわからないけれど、あと6日でクラファンが終わる。平岡手帖をまずは一年間、毎月発行していくことは支援の多寡にかかわらないけれど、できるだけ集まってくれると、様々な面で円滑になり、結果、継続に繋がると思うので、ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします。 …という日がくることを、3月27日、黄金町バザールの『寄る辺ない情念』(Art Center Ongoing の小川希さんによるキュレーション展)を見ている時、あまりリアルに想像で

          【『手帖』と手“帳”(24)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 24日目)

          【『手帖』と手“帳”(23)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 23日目)

          おとといの玉川上水、それこそ水の中へと溶け込むように散開していったパフォーマーたちも、目が馴れてくるとだんだん見えてくる。コンクリートの岸、その突端に立った山岡さんは、企画としても、パフォーマンスの目立ちっぷりからいっても中心で、観客のセキさん、そして企画のもう一方の柱である、「玉川上水46億年の旅」主宰のリー智子さんは、その側に座ってイチゴを食べている。ご相伴に預かりながら山岡さんの足元を見ると、最初10個あった石は4個になっていった。その直前には6個だったから、“石ふたつ

          【『手帖』と手“帳”(23)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 23日目)

          【『手帖』と手“帳”(22)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 22日目)

          昨日は早く出て羽村駅へ向かう。待ち合わせ時刻の10時15分前に着く電車に乗ったのは、(一応)企画側だからぎりぎりの、次の9時58分着ではまずいだろうと思ったからで、改札を出ると山岡さ希子さんが、参加者のセキさんとムラヤマさんと話している(名刺代わりとして、見本の『一月号』をお渡しする)、夜行バスで東京まで来た石田高大さんは、とっくに近くの喫茶店で一服していたらしく、北山聖子さんと一緒に会話の輪に混ざる。すぐに、山﨑千尋さんと、その他の参加者さん ― フクシマさん、ナガテさん、

          【『手帖』と手“帳”(22)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 22日目)

          【『手帖』と手“帳”(21)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 21日目)

          この書き出しが多いけれど、またも私は電車に揺られていて、今日は、玉川上水取水口でのパフォーマンスを見に行く(というより、企画側として赴く)。その予習になればと、昨日は調布駅で降り、尾花賢一さんと石倉敏明さんの 「多摩川ジオントグラフィー」に向かったが、GoogleMap を読めずに一旦引き返す…と見知った顔が階段を上がってきて、やっぱりアベさんだった。 アベさんに案内してもらって、会場の【調布市文化会館たづくり】にたどり着く。2階(ホール?)に向かおうとする私を、アベさんは一

          【『手帖』と手“帳”(21)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 21日目)

          【『手帖』と手“帳”(20)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 20日目)

          『手帖 3月号』を書き終え(実際、何かの形で発表するなら、もう少し校正などが必要だろうけど)、少し気楽な気分で上野駅を降り、地図を見ながら進む。途中で大体検討がついたので、スマホをしまい、ぼーっと歩く。時代遅れなイヤホンから聴こえる、“オネゲルの田園”とも呼ばれるらしい交響曲第4番の響きが、快晴の4月、やや温い昼過ぎによくあっているが、考えているのは3月のことだ。 このコラムでも何度か書いたけれど、3月22、23日と石田高大さんの《6つのサイコロ》を見ていて、企画側の“記録係

          【『手帖』と手“帳”(20)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 20日目)

          【『手帖』と手“帳”(19)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 19日目)

          ようやく『平岡手帖 3月号』が書き終わって、佐塚さんたちにお送りする。見本の『1月号』では、情報量が多すぎて疲れる…みたいな反応を少し頂いたから、詳細は思いきって展示リスト(引用文献的に巻末へ付した、登場した展示を一覧にしたもの)に任せ、本文はもっと大雑把に書いてしまう。この試みは、少なくとも私の中では当たっていて、情報量を抑えた分、展示や作品そのものの描写が増やせて、流れとしてもっとおっとりした気がする。 そして、この平岡手帖は、練習がてら書き始めた『2023年10月号』の

          【『手帖』と手“帳”(19)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 19日目)

          【『手帖』と手“帳”(18)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 18日目)

          昨日はナミイタに行って、現状、捨てられるだけのゴミ(の詰まったガラ袋)を荷台に放り込んだトラックを見送る。その時トラックを運転しているのはツルオカさんで、先ほどまでは荷台で受け取った荷物を均していた、助手席の、アトリエ・トリゴヤの吉川さんは、脚立の上でゴミを待ち構えており、“アルミマン”こと飯島さんに、トリゴヤ/ナミイタと隣りあっていた作庭工房(も焼失してしまった)のイトウさんが寄せてくれた袋を吉川さんへ渡すのが、私のこの日の役目だった。ナミイタ管理人の東間さんは、手続きの関

          【『手帖』と手“帳”(18)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 18日目)

          【『手帖』と手“帳”(17)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 17日目)

          罹災後のナミイタにお伺いするのは何度目だろうか、昨年の大晦日、燃えてしまってから(たしか)3日目の様子は、フィルムの傷んだ白黒映画に迷い込んだようで、すでに駆けつけた藤巻瞬さん(ナミイタで個展も開催した、ゆかりのある作家さん)が、堆積した炭の層にスコップを突き立てていた… ところから3ヶ月ちょっと経った。この前手伝いに行った先週4月11日には、もちろん、まだゴミがたくさんあったけれどそれらの多くはガラ袋に入れられて分別されており、あとは“裏山”を切り崩す…というわりと最終段

          【『手帖』と手“帳”(17)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 17日目)

          【『手帖』と手“帳”(16)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 16日目)

          「蜘蛛と箒 SNSレビュープロジェクト」の原稿は、その前に『手帖 3月号』で考えていたこともあって昨日一日でほぼ終わって、今日夕方には提出するつもりだ。 今日も一日家にいるので、朝から、滞っていた『3月号』を進める(本来の流れから言ったら10日ぐらいまでに書き終わっていないとまずい)。16日に見た、上野悠河さんの《そのとき言葉は遮られた》、“顔”を近づけあったモニターの間で、半紙(状の薄い紙)が、交互にくっついたり離れたりしている作品から、 24日へとまず繋ぐ。その日は、ア

          【『手帖』と手“帳”(16)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 16日目)

          【『手帖』と手“帳”(15)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 15日目)

          このコラムを書き始めてあっという間に半月、ということはクラウドファンディングが始まってから15日経ったということでもあって、これまでにご支援くださった61名の方々、どうもありがとうございます。そしてご検討中の方は、目標到達率44%とまだまだですので、ぜひ、お力添えのほどよろしくお願いいたします。 …と書いている今日は12日ぶりに家でおとなしくしていて、今月分の蜘蛛と箒を進めている。蜘蛛と箒SNSレビュープロジェクトには昨年の5月から参加しているからもうすぐ1年で、今書き進め

          【『手帖』と手“帳”(15)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 15日目)

          【『手帖』と手“帳”(14)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 14日目)

          なるべくお昼頃、このコラムを投稿しよう…と思っているが、展示の予定的になかなかそうもいかなくて、これを書きはじめたのは夕方、サブテレニアンの最寄駅(のひとつ)・板橋区役所前駅にそろそろ着くところだ。 そして、改めて昨日を思いだそうとしても、それがついさっきも行っていた、大久保のCallboxであることが面白い。 13日のcallboxでは、“ダニエル・ホール”さんが1日だけ展示をしていて、もうすっかり見慣れたウインドウギャラリー内には「Red Bull」が100本近く、端か

          【『手帖』と手“帳”(14)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 14日目)